中川政七商店と堀田カーペットが新たに挑む工芸建材の世界
2025年3月9日(日)、大阪に「TACTILE HOUSE OSAKA」がオープンします。この施設は中川政七商店と堀田カーペットが共同で設立した「Tactile Material株式会社」が運営し、工芸に基づいた建材を体験できる宿泊施設として、現代の住宅における触覚の重要性を再認識させる目的があります。
工芸建材とは?
「工芸建材」とは、漆や和紙などの伝統工芸を活用した建築材料を指します。中川政七商店は「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、生活雑貨の製造だけでなく、インテリアや建材の分野でも工芸の力を広める活動を行ってきました。堀田カーペットも、カーペットの枠を超えて空間全体を提案する取り組みを進めており、この二つのビジョンが交わることで新しい形の工芸建材事業が誕生しました。
TACTILE HOUSE OSAKAの特徴
「TACTILE HOUSE OSAKA」は、一棟貸しの宿泊施設で、189坪の土地に59坪の建物が建っています。建材には、漆で仕上げた意匠柱や、和紙を使用した建具、伊達冠石の洗面台などが採用されており、それぞれの素材が持つ特性を活かしたデザインが施されています。部屋の中では、触れることで素材感を体感できるようになっており、宿泊客は全身で「工芸建材」の魅力を感じ取ることができます。
この宿泊施設は、一般の宿泊プランのほか、施主や建築関係者向けの見学サービスも提供されています。宿泊者は、リビング、キッチン、ベッドルーム、バスルーム、パントリー、バルコニーを含む空間全体を体験しながら、自然素材による快適な暮らしを感じることができます。
設計とデザイン
「TACTILE HOUSE OSAKA」の設計は、MMA.incの工藤桃子氏によって行われました。彼女は日本の伝統と現代のデザインを融合させた建築を手がけており、その豊かな経験を生かしてこの宿の空間設計を行いました。また、家具のデザインにはEssential Storeの田上拓哉氏が関わっており、古美術品の取り扱いだけでなく現代的な空間デザインにも対応しています。
工芸素材の魅力
宿泊施設では、漆塗りの意匠柱や和紙の建具、ウールカーペットなど、各所に日本の伝統技術が用いられています。こうした素材は、ただ美しいだけでなく、触れることでその質感や温かみを直接感じることができ、現代の住宅にはない独特の安らぎを提供します。また、さまざまな場面で工芸建材を取り入れることで、持続可能な暮らしや文化の継承にも寄与しています。
予約と利用プラン
「TACTILE HOUSE OSAKA」では、宿泊プラン以外にも建築関係者向けの見学プランやレンタルハウスプランが用意されています。宿泊は1日1組までで、基本料金は税込72,600円からです。施設見学プランは、施主や建築関係者に向けた2時間制であり、実際に工芸建材を目の当たりにし体感することができる貴重な機会です。
まとめ
「TACTILE HOUSE OSAKA」という新しい宿泊施設は、ただの宿泊以上の体験を提供します。工芸建材を通じて、触覚や視覚を刺激し、日常の中で改めて大切にしたい「触れ合う感覚」を提供してくれるでしょう。中川政七商店と堀田カーペットが手がけるこのプロジェクトは、現代の家づくりに新たな価値をもたらすに違いありません。