美容師が築く地域支援の絆
神奈川県川崎市で美容室「アルコバレーノ」を営む福祉美容師の戸塚貴博さんは、2015年からヘアドネーションを取り入れたウィッグ支援活動を行い、2026年5月時点で累計100件の制作・支援を達成しました。この活動は、一人の患者との出会いから始まりました。脱毛に悩む人々に寄り添い、その心の支えとなるために、美容師としてできることを模索した結果、ヘアドネーションという形が生まれました。
ヘアドネーションの裏側
戸塚さんのウィッグ支援は、脱毛症、抗がん剤治療、先天性疾患など、様々な理由で髪を失った子どもたちを中心に行われています。累計100件の内訳は、50件のフルオーダーウィッグ制作、41件のオリジナル既製品ウィッグ、9件のウィッグ修理・調整サポートです。この活動は、ただウィッグを製作するだけではなく、利用者一人一人に寄り添ったサポートを想い、心を込めて行っています。
資源を新たな価値へ
Ribinetで展開する「スマイルプロジェクト」では、廃棄される髪の毛や美容室での廃材に新たな意味を持たせています。ヘアドネーションから寄付された髪の毛は、長さに応じて様々な用途に転用され、30cm以上は医療用ウィッグとして、20〜30cmは職人への資材として、10〜20cmは環境保全に役立つ資材に生まれ変わらせます。この新たなアプローチにより、以前は「ゴミ」とされていたものが、子どもの笑顔や環境保全の一翼を担っています。
地域と共に歩む
川崎市のアピアランスケア助成金制度を活用し、抗がん剤治療を受ける成人にも支援の手を広げる活動を開始。美容室「WIGOO」では、地域の医療や福祉と連携し、より多くの人々にウィッグの選択肢を提供しています。経済的負担を軽減しつつ、多様なニーズに応える体制作りが進められています。
チャリティーカットイベントの開催
毎年恒例のチャリティーカットイベントが2026年8月4日、川崎市の「てくのかわさき」で開催されます。参加費は無料で、施術費は募金として使われます。集められた支援金は、こどもケアウィッグやスマイルプロジェクトの活動費として活用されます。
NPO法人「Ribinet」設立
26回目のイベントを機に、Ribinetは2026年7月7日付けで特定非営利活動法人として法人登記を行い、活動の幅を広げる新たなスタートを切りました。これからは美の力を通じて、全国の理美容師とともに、より多くの社会課題に向き合っていくことを目指します。
代表の思い
戸塚さんは、「最初は目の前の一人のために始めた活動ですが、今では多くの人々に笑顔を届けることになりました。これからも、美容を通じて地域社会に貢献していきたい」と話しております。彼の活動は、美容師と地域が手を取り合って、支え合う新たなモデルケースを示しています。