石川県・山中で新たに始まったECサイトの「理想のうつわ探し」サービスは、伝統工芸である山中塗の魅力をより多くの消費者に届けることを目的としています。
このサービスを通じて、250以上のメーカーと職人たちそれぞれの強みを活かし、個々のニーズに応じた独自のうつわを提案します。今まで、消費者は複数の窓口へ訪れる必要がありましたが、「理想のうつわ探し」では、窓口を一つに集約。ユーザーは簡単な問い合わせフォームを通じて、希望する商品イメージを伝えられるのです。
サービスの仕組みとは
「理想のうつわ探し」は、ユーザーがオンラインストアに一定時間滞在すると、サービス専用のポップアップが表示される仕組みです。そこで、ユーザーは探しているうつわのイメージをテキストや画像で送信することができます。受け付けたリクエストは、山中塗に加盟するすべてのメーカーと職人に展開され、その中から最適な提案がまとめられ、ユーザーに返されます。
この方法によって、個別対応が難しかったニーズにも、産地全体で対応が可能となります。例えば、子ども用と大人用の木製漆器を探している家庭や、特注の茶杓を求める茶道愛好者、昔に購入したうつわの再購入を希望している人々に対して、多岐にわたる情報と提案を提供できるようになりました。
試験運用の成功
このサービスは2024年の9月から11月にかけて試験運用され、その結果は非常に好評でした。特に、単独のECサイトでは満たされなかった需要に応えることに成功したという点は、産地全体にとっても大きな価値となっています。
ケーススタディ
1.
子ども用・大人用のうつわの要望: 医薬品から2社がそれぞれのサイトを紹介し、長く使える塗り替えサービスも提案。
2.
茶杓の特注リクエスト: 山中の唯一の茶道具メーカーから、オンラインでは得られない受注生産の情報が提供されました。
3.
旧製品の再購入希望: 問い合わせに対して、提供元から自社商品であるとの確認がされ、同じ商品での特別サイズを提案。
組合の目指すもの
理事長の竹中俊介氏は、産地全体の活性化を図る一環として、今回のコンシェルジュサービスを展開しました。過去5年間、産地のDX(デジタルトランスフォーメーション)やブランディングに力を入れ、さらなる成長を目指しています。山中塗は国内外のマーケットでの認知度を高め、同時に日本の伝統工芸の衰退を防ぎたいと考えています。
結論
この「理想のうつわ探し」は、消費者と伝統工芸産地をつなぐ新しい架け橋となるでしょう。使い勝手やデザインはもちろん、伝統への理解と敬意を新しい世代に伝える役割も果たすことが期待されています。今後ますます注目されるこのサービスの動向から目が離せません。