量子通信の実験成功
2025-03-28 10:26:55

量子技術活用の新たな通信実験、データの安全性向上に成功

量子技術を駆使したデータ通信の革新



オプテージと東芝デジタルソリューションズ、フォーティネットジャパンが共同で実施した実証実験が、量子鍵配送(QKD)と耐量子計算機暗号(PQC)を組み合わせた新しい通信システムの可能性を示しました。この実証実験により、高い安全性と可用性を持つ「量子セキュアデータ通信」が実現されたのです。これは、量子コンピュータによるデータ暗号の解読リスクが高まる中、企業の情報通信基盤の強化に寄与するものであり、特にこれからのWeb3時代における重要なステップといえます。

量子技術の背景と必要性



量子コンピュータは、従来の暗号通信に大きな脅威をもたらします。特に、現在一般的に利用されている暗号鍵が解読される危険性が高まっているため、QKDやPQCの導入が急務です。これにより、サイバー攻撃からデータ通信を保護し、安全に利用できる環境を整えることが求められています。

QKDは光ファイバーを使用して暗号鍵を共有するシステムですが、特定の条件下、特に攻撃を受けた場合にはその運用が難しくなることもあります。一方で、PQCは量子コンピュータの進化に対抗するための新しい暗号技術で、現在の計算能力に依存しているため、単体での安全性保持には限界があります。このような状況から、両者を組み合わせることで、安全性を高める必要が生じます。

実証実験の具体的内容



今回の実証実験では、オプテージが提供するネットワークを基盤に、東芝デジタルソリューションズのQKDシステムとフォーティネットジャパンのファイアウォール「FortiGate」を搭載した環境で、拠点間 VPN の実現を目指しました。実験は2024年9月から2025年1月にかけて行われました。

QKDとPQCを用いた冗長化システムの構築



QKDでは、光子を用いた鍵の伝送技術により、暗号鍵の盗聴を検知するシステムを構築。これに加えて、PQCを使用することで耐量子性のある回線を冗長化しました。具体的には、QKDとPQCをそれぞれ用意し、障害時や攻撃を受けた場合にはPQC切り替えで迅速に運用を維持する体制を整えました。このシステムにより、インターネット接続の際のユーザー体験を損なうことなく、スムーズに通信の切り替えを実現しています。

パブリックブロックチェーンのノード運用への適用



実証実験では、ブロックチェーンノードに必要不可欠な秘密鍵の情報もQKDによる通信路を用いて安全にやりとりしました。この結果、秘匿性を保持しつつ拠点間での連携を強化できたことが確認され、既存のデータ転送品質を保ちながら様々なアプリケーションニーズに対応できることが示されました。

今後の展望



量子コンピュータが実用化されるまでの間に兆候を見せるハーベスト攻撃に備え、事前にセキュリティ対策を強化する必要があります。今回の実証実験から得た知見を元に、オプテージ、東芝デジタルソリューションズ、フォーティネットジャパンは、量子暗号技術の実用化に向けたさらなる取り組みを推進していく方針です。社会のセキュリティ要求が高まる中、未来の情報通信に向けた安全なインフラの構築が期待されます。

企業概要


株式会社オプテージ


オプテージは関西電力の100%子会社で、光ファイバーネットワークを基盤にした家庭向けインターネットサービスや法人向け情報通信サービスを提供しています。

東芝デジタルソリューションズ株式会社


東芝グループの一員としてIoTやAI技術を駆使し、デジタルソリューションの提供をグローバルに展開しています。

フォーティネットジャパン合同会社


フォーティネットは、サイバーセキュリティの進化を牽引し、多様なセキュリティ製品の提供を行っている企業です。また、トレーニングプログラムを通じ、広範なサイバーセキュリティ教育を実施しています。


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会社情報

会社名
株式会社オプテージ
住所
大阪府大阪市中央区城見2丁目1番5号オプテージビル
電話番号
06-7501-0600

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