大林組とトヨタが協力し施工シミュレーション技術を革新したGEN-VIR®

大林組とトヨタが手がける革新的な施工シミュレーター

株式会社大林組は、トヨタ自動車株式会社の未来創生センターと共同で開発した施工シミュレーター「GEN-VIR®」を利用し、工事現場での作業効率向上や労働災害の防止に取り組んでいます。このシミュレーション技術は、特に東名リニューアル工事で導入され、作業員の負担を軽減するための新機能を搭載しました。

GEN-VIRの概要と背景

GEN-VIRは、3DCGを駆使して工事現場の作業状況を再現するシミュレーションソフトウェアです。この技術を用いることで、作業の順序や作業員の配置を精緻に検討することが可能になります。具体的には、高速道路上などの限られた環境での作業において、生産性を向上させるために導入されています。ただし、生産性を重視するあまり作業員への肉体的負担が増すリスクも伴うため、その分析機能を充実させることが求められました。

新機能の追加

自動作業姿勢生成機能

新たに追加された自動作業姿勢生成機能により、バーチャル空間内で作業員が実際に行う作業姿勢をシミュレーター上に再現することができます。この機能を利用することで、筋疲労をより高精度で数値化し、作業における負担を具体的に分析できるようになりました。

筋疲労分析機能の改良

筋疲労分析機能は、作業ごとに疲労度を時系列で算出することが可能となります。これにより、シミュレーションの結果が実際の作業に一層近づくことが実現しました。この分析は、トヨタ自動車未来創生センターのレポートでも詳細が紹介されています。

効率的改善策の導入

筋疲労を考慮した作業体制の見直し

モルタル打設作業において、従来の7名編成から、GEN-VIRを活用して6名編成にシミュレーションを行った結果、工期の効率化が判明しました。この見直しにより、作業員の待機時間を短縮し、同等の作業時間で進行することに成功しました。

さらに、具体的な筋疲労データの分析を行ったところ、特にハンドミキサーを使用した際に負担が大きいことがわかりました。このため、モルタルミキサーの導入が検討されました。

シミュレーション結果の活用

モルタルミキサーを使用した新たなシミュレーションでは、40分の作業時間短縮と筋疲労の軽減が確認されました。このシミュレーションの映像は、手順説明会で用いられ、全体の作業手順や安全対策の確認に役立てられました。

実際に、作業員からは「シミュレーションを通じて、作業工程が明確になり、スムーズに進行できた」との感想が寄せられました。これによって、未経験の作業工程でも全員が共通の理解を持つことができ、効率的かつ負担を軽減した作業が実現しました。

今後の展望

大林組では、今後もGEN-VIRの技術を活用し、高速道路のリニューアル工事をはじめとした各種工事においてさらなる機能の開発と改良を進める方針です。生産性の向上と共に作業員の負担軽減も両立させ、安全で安心なインフラの構築に向けて貢献していくことを目指しています。この取り組みが、今後どのように発展していくのか注目されます。