2025年4月23日、日本救急救命士会は設立1周年を迎えました。この記念すべき日に、救急救命士の行動指針を示す「救急救命士の倫理綱領」を公表しました。本倫理綱領は、救急救命士がどのように職務を果たすべきかを明確にし、専門職としての責任の範囲を社会に示す重要な文書です。
救急救命士は、その業務を通じて、生命を守り、苦しみを和らげる責務を有しています。倫理綱領では、国籍や人種、宗教、社会的地位に関係なく、人間の尊厳を重んじ、誰に対しても公平に救急医療を提供することが求められています。同時に、救急救命士は公共の利益に反する行為を行わないことも強調されています。
また、救急救命士は業務上知り得た情報を無断で漏らすことは禁じられており、その取り扱いには厳重な注意が必要です。さらに、資格や専門職全体の信用を損なう行為も認められていません。救急救命士は、継続的に学び、その専門性を維持することが求められています。これにより、技術の進歩や社会のニーズに対応できるようになります。
法律の遵守も重要な項目です。救急救命士は関連する法律を理解し、それに基づいて行動することが求められています。法改正がなされる際には、積極的に協議に参加し、その意見を反映させることが急務とされています。
多職種との協力も強調されています。救急医療を必要とする患者が最大限の利益を享受できるように、医療機関や関連機関と連携し、適切な対応を心掛けることが求められています。倫理に反する行為に対しては断固として反対し、適切に対処する意義も示されています。
一般社団法人日本救急救命士会は、直近の1年で多くの活動を行ってきました。設立から1周年にかけて、さまざまなセミナーやフォーラムを実施し、救急救命士の専門知識の向上を目指しています。特にオンラインセミナーでは、最新の医療ガイドラインや救急処置に関する情報を共有し、参加者からの好評を得ています。
日本救急救命士会は、救急救命士法が制定された1991年以降に急増した救急医療ニーズに対応するために設立されました。高齢化の影響に伴い、救急医療を必要とする患者の数は増加しています。これにより、救急救命士の役割や責任も拡大しており、その重要性が高まっています。
今後も、日本救急救命士会は救急救命士の育成と専門性の向上を図りつつ、国民の安全と安心を確保するための活動を続けていきます。この倫理綱領が、救急救命士の指針となり、今後の活動に幅広く活用されることが期待されます。救急救命士の皆さんが、より高い倫理観を持って業務にあたることが求められています。
救急救命士の皆さん、ぜひこの倫理綱領を一読し、自分の職業に対する責任と自覚を新たにしてください。そして、これからも私たちの大切な使命を果たしていきましょう。