ニキビ予防ケアの新たな展望
ライオン株式会社は東京電機大学と共同で開発した画像認識AI技術を用いて、ニキビの原因菌であるアクネ菌を自然光の下で可視化することに成功しました。この技術により、一般的なカメラで撮影した顔の画像からアクネ菌の存在を判別し、日常的なニキビ予防に向けた行動を促すことを目指しています。
研究の背景
ニキビは皮脂の分泌過剰や毛穴の詰まり、それにアクネ菌の増殖が主な原因で、炎症を引き起こします。ニキビが重症化すると、痕が残る恐れもあるため、アクネ菌の状況を把握することが重要です。現在、一部の医療機関では特別な装置を使ってアクネ菌を可視化できる技術がありますが、これらの設備は限られています。さらに、顔に紫外光を当てることに心理的抵抗を感じる人も少なくありません。
そこで、ライオンは東京電機大学と連携し、自然光のみでアクネ菌を可視化する新たな技術の開発に取り組みました。この技術は、本来、高度な処理が必要とされるアクネ菌の可視化を、身近なデジタルカメラでも実現可能にします。
開発方法
この技術は以下のステップで実現されました。まず、最新の画像認識AIを利用し、顔の画像からアクネ菌が存在する場所を自動で判定するモデルを開発しました。その後、自然光と紫外光で撮影した顔の画像を基に学習を行い、AIによって生成された画像を比較・解析する手法を採用しました。
具体的には、紫外光で撮影した画像と生成画像の赤色の強さを測定し、アクネ菌の代謝物の存在をスコア化し、相関性を確認しました。これにより、自然光を基にしたアクネ菌の可視化が可能となりました。
研究成果
最終的に、紫外光で撮影した画像と、生成した画像におけるアクネ菌の代謝物ながら、明確な相関性が確認されました。この成果により、将来的にはスマートフォンのカメラで肌の状態を簡単にチェックできるようになることが期待されています。毎日のスキンケアや生活習慣の見直しが手軽に行え、効果を実感しやすくなることでしょう。
今後の展望
ライオンは、ニキビ予防効果を高めるサービスの開発を継続しています。2024年9月からはiPhone向けの「大人のニキビ予防習慣研究所」アプリを通じ、ニキビの発症と生活習慣との関連性を研究していく予定です。AI技術を活用して、日々の肌状態を視覚的に確認し、ニキビ予防を実践するための生活習慣提案サービスを目指します。
この技術は、高い技術力を持つライオンと東京電機大学の連携によって生まれたものであり、ライオンは今後も先進的な技術を駆使し、人々の日常の健康と美を支えていく所存です。
参考文献
1. 日本顔学会誌第24巻1号「深層学習を活用した顔画像からのアクネ菌の可視化」
2. 株式会社ライオン コーポレートサイト
ライオン公式サイト