Z世代の就活事情を深掘り、企業への影響力が明らかに

Z世代の就活事情を深掘り

日本の就職市場において、Z世代と呼ばれる1990年代後半から2000年代初頭に生まれた若者たちの動向が、多くの企業にとって無視できないテーマとなっています。株式会社電通が実施した「Z世代就活生まるわかり調査2025」では、2025年・2026年に卒業予定の全国の大学生・大学院生483人を対象に、就職活動に関する意識が調査されました。この調査の結果は、企業が今後の採用活動やブランド戦略を考はる上で重要な指針となっています。

安心重視の就活傾向

調査の結果、61.4％の就活生が将来的な海外勤務に対して消極的な姿勢を示していることが分かりました。これは、社会の不確実性や安定した生活を求めるZ世代の心理を反映しています。特に、内定を辞退する際の理由として「給料や福利厚生に対する不満」が23.1％で、続いて「勤務地や転勤の可能性に対する不安」が20.2％となっています。さらに、88.8％の学生が勤務地の確約を求め、85.3％が職種・配属先の確約を重視している点も、安心を求める姿勢を示しています。

企業イメージの変化

一方、調査に答えた学生の53.9％が、就職活動中に企業や商品のイメージが悪化したと感じています。その理由の中で最も多かったのは「面接官の印象」で、53.0％にのぼります。これは、企業側が採用活動を通じて学生との接点を増やす機会であり、特に面接時のコミュニケーションが印象を大きく左右することを示唆しています。たとえば、説明会の内容が不明瞭だったり、選考結果の発表が遅れたりすると、企業への信頼が失われる恐れがあります。

インターンシップの動機

また、インターンシップへの参加動機も興味深く、夏のインターンシップでは「業界や職種を知ること」が60.0％で主な動機となる一方、秋冬のインターンシップでは「内定に直結している」が50.5％を占めています。これが示唆するのは、各シーズンでの目的意識が明確に異なっていることです。学生が内定を獲得するための実質的な選考の場としてインターンシップを重視していることが分かります。

親の影響が重要

さらに興味深いのは、入社先を決定する際の影響力についてです。親や家族、親戚の影響を受けている学生は30.2％に上り、昨年よりも約5.4ポイント増加しています。このことから、就活において「オヤカク」（親の意見確認）が重要なプロセスであることが改めて明らかとなりました。

まとめ

このように、Z世代の就活事情は企業にとって多くの示唆を提供しています。特に、安定を求める傾向や面接時の印象の重要性、インターンシップの目的の変化、さらに親の影響がもたらす効果を理解することが、今後の採用活動において不可欠です。企業は、学生が安心して応募できる環境を整えるとともに、しっかりとした情報発信を行うことが求められるでしょう。就職活動におけるZ世代の特性を把握することで、企業は今後ますます多様化する若者のニーズに対応する必要があります。