大阪けいさつ病院が新たに導入した先進的手術支援ロボット
大阪府大阪市に位置する大阪けいさつ病院は、最新型手術支援ロボット「センハンスデジタルラパロスコピー・システム」を用いて、令和7年9月9日、初めての腹腔鏡下虫垂切除術を行いました。この手術は急性虫垂炎に対して施行され、消化器外科の高橋秀和副部長が執刀を担当しました。
この「センハンス」は、手術の精度を高めるためにデジタル化が進められており、従来の腹腔鏡下手術同様に小さな傷で施術可能です。手術が行われた際、先端の鉗子はコンピュータによって制御され、手振れ補正機能により精密な操作が保証されています。さらに、鉗子の動きのスピードは25%、50%、75%の3段階に調整できるため、特に血管周囲の操作など、繊細な作業が必要な場面でその効果が発揮されます。
また、内視鏡はロボットが安定的に保持するため、画像のブレがなく、術中の操作がより確実に行える点も評価されています。加えて、このシステムは座位での操作が可能なため、医療スタッフの身体的負担も軽減され、長時間の手術でも疲労を抑えることができます。
高橋副部長は、虫垂切除術の実施について次のようにコメントしています。「今回使用したセンハンスデジタルラパロスコピー・システムは、EUの援助で開発されたイタリア産のシステムです。使用する鉗子のサイズも5mmに加えて、3mmまで対応できるため、傷跡も非常に小さく済みます。手術現場はロボットアームがカメラを保持し、手ブレ補正により安定感がありますので、従来の手術方法と比較しても、より高い精密さで手術を行うことが可能です。」
さらに、センハンスはがん手術のみならず、虫垂炎や胆石、ヘルニアといった良性疾患の手術にも適用されている点も見逃せません。「今後も、より多くの患者さんに対して質の高い医療を提供していきたいです。」と高橋副部長は強調しました。
先端ロボット手術センターの取り組み
また、大阪けいさつ病院には先端ロボット手術センターが設置されており、様々な手術支援機器を用いて患者への負担を最小限に抑えた手術を心がけています。このセンターでは、上部消化管領域のロボット手術に豊富な実績を有する大森健センター長や、国際的に認識されているロボット手術の専門家である竹政伊知朗医師などが揃い、定期的にトレーニングを行っています。現在、センターでは最新型のロボットに加え、従来のモデルと合計5台のロボットを駆使し、低侵襲治療を進めています。
手術室では、高橋副部長がコンソールを操作し、手術が進行する様子が見受けられます。医療の最前線では、技術と人の融合による新たな治療スタイルが展開されており、多くの患者の命を救う役割を果たしています。