新規事業開発の壁を突破する
2024年5月、大手企業の新規事業開発部門の責任者を対象としたウェビナー「新規事業開発の壁を突破する」が開催され、多くの注目を集めました。このセミナーでは、オリックス株式会社が手掛ける文書管理サービス「PATPOST」の成功事例を示しながら、新規事業を成功させるための戦略や実行方法についての議論が行われました。
顧客の声を聞くことが成功の鍵
オリックスの新規事業「PATPOST」は、2023年5月より提供が開始され、23年末には2,000社以上が導入するサービスへと成長を遂げています。この成功の裏には、プロジェクトマネジメント担当の岩野徹也氏を筆頭に、開発チームが顧客の声を在り方として重視したことがありました。
岩野氏は新規事業における顧客ヒアリングの重要性を強調し、計画を単なる会議の場で策定するのではなく、早期に顧客と接触したことが成功の一因であると語ります。この戦略により、業務の実態を把握することができ、顧客ニーズの解像度を高めました。これにより、彼らはより具体的な解決策を提案できるようになりました。
一方で、企業の新規事業が直面する課題の一つとして社内承認が挙げられます。岩野氏は、単なる市場予測データだけではなく、具体的なパイプラインのリストを活用することで、社内の承認を得るための説得力を増すことができたと述べています。
外部プロとの連携が成し遂げたスピード感
「PATPOST」の成功は、オリックス社内の力だけでなく、外部の専門家と連携することで大きく加速しました。特に、INCLUSIVE株式会社や株式会社EmpowerXとの密接な協力が、マーケティング戦略や営業の前線を支える重要な要素となりました。
外部の専門的知識を活用することで、オリックスは迅速な事業立ち上げを実現。このように、役割を分けて連携することで、それぞれの専門性を最大限に生かすことができたのです。岩野氏は毎日の朝会に外部パートナーも参加させ、フラットな情報共有を行ったことが、チーム全体の士気と成果を向上させる結果につながったと言います。
生成AIによる業務効率化と現場の重要性
セミナーの最後に岩野氏は、生成AIを活用した業務の効率化について言及し、最新テクノロジーを積極的に取り入れていく姿勢を示しました。しかし、登壇者全員が口を揃えて述べたのは、最終的な答えは常に顧客の現場にしかないという真理でした。
このような活動は、ただ美しい計画書を作成するだけでは成功し得ないことを意味しています。顧客の課題を自分事として捉え、そこから迅速な仮説検証を行う泥臭い活動が、新規事業の成功には不可欠であり、外部パートナーとのオープンな協力関係がそのプロセスを加速させるのです。
結論
オリックスの文書管理サービス「PATPOST」は、顧客との対話を重視し、外部の専門家と連携することで成功を収めました。このセミナーを通じて、参加者たちは新規事業開発の成功法則を学び、今後のビジネスにおける参考とすることができたのではないでしょうか。