生活のデジタル化の現状と今後の展望
博報堂生活総合研究所は、15歳から69歳の男女を対象に、生活全般のデジタル化の度合いを調査する「生活DX定点」調査を初めて実施しました。この調査では、生活の各分野におけるデジタルとアナログの比率や、今後のデジタル化への意向が明らかになりました。
デジタル化の現状
調査の結果、生活の中でデジタル化が進んでいるのは主に情報取得や少額決済に関する分野でした。これらの分野ではデジタル比率が50%を超えている一方、医療や旅行などの分野ではデジタル化はまだ1割未満にとどまっています。
具体的には、情報取得や店舗での少額決済、商品の売買は比較的デジタル化が進んでおり、特に情報取得では明らかにデジタル化が優位です。しかし、衣食住に関連する分野や学び、恋愛などではアナログの割合が依然として高いという現状が見て取れます。特に、ファッションや診療、旅行などの生活の基本に関する部分は、まだまだデジタル化が進んでいないことがわかります。
性別や年代によるデジタル化の差
調査結果を見ると、性別によるデジタル化の差も顕著です。特に男性は女性よりもデジタル比率が高い分野が多いことが示されています。例えば、オンラインでの試着やデート、動画視聴、ゲームなどでは、その差が特に大きく現れました。
また、年代別に見ると、若い世代ほどデジタル比率が高い傾向にあります。物品の売買や子供の授業、コンサート参加などでは、若者が圧倒的にデジタルを選択している様子が伺えます。
今後のデジタル化への意向
今後のデジタル化に関する意向を見ても、全般的にはデジタルとアナログを両方使う「ハイブリッド派」が多いことがわかります。しかし、旅行やファッション、デート、恋愛関連などの分野では「アナログだけに絞りたい」という意見が多く、これらの領域では従来のアナログスタイルを重視したいと考える人が少なくないようです。
逆に、店舗での少額決済やレシピ確認、物品売買においては「デジタルだけに絞りたい」と考える人々が比較的多いことも興味深い点です。
全体として、「生活DX定点」調査は、これからの生活の形を考える上で重要な知見を提供しています。生活全般のデジタル化は着実に進んでいますが、依然としてアナログを重視する価値観が根強いことも事実です。今後、博報堂生活総合研究所はこの調査を定期的に実施していく予定で、ますます変わる生活者の行動がどのように進化するのかが注目されます。
この調査結果は、私たちの生活スタイルや消費行動の変化を理解する助けとなりそうです。デジタル化が進む中で、どのようにバランスを保ちながら生活していくべきかを再考するきっかけになるでしょう。