ドコモ、上空LTE通信における新技術の発表
NTTコミュニケーションズ株式会社が、法人事業ブランド「ドコモビジネス」から新たな取り組みを発表しました。国内初となる上空でのLTE通信における「パケット優先制御」と呼ばれる技術の検証に成功したのです。この技術は特に混雑したエリアやピーク時間帯での通信の安定化や速度向上を目指しています。
パケット優先制御の背景
近年、物流分野におけるドローンの需要が高まっており、2023年12月からは目視外飛行が可能な「レベル3.5」が新設されることが発表されました。しかし、目視外飛行を行う際には高品質なリアルタイム映像の確認が必須です。そのため、安定した上空通信環境が必要不可欠となります。本プロジェクトでは、LTE上空利用プランのパケット優先制御機能を搭載し、上空の通信品質を確保しました。
検証内容と結果
本検証では、イームズロボティクス株式会社の「E600-100」やSkydio社の「Skydio X10」といったドローン機体を用いて、 LTE通信の速度向上と安定性の確認を行いました。特に、LTE上空利用プランの閉域接続オプション「MECダイレクト」を利用した高度なセキュリティ環境下でのパケット優先制御の効果についても検証しました。
E600-100による検証
イームズ製のE600-100を用いた試験では、モバイル通信の速度が向上し、安定性も確認されました。ドコモネットワーク内での自由な通信の実現により、データの送受信がスムーズに行えることが確かめられました。
Skydio X10による検証
次に、Skydio X10を用いた実験では、リアルタイムな映像品質も確認され、特にカメラの映像伝送において顕著な改善が見られました。映像伝送の比較動画も公開されており、技術の効果を視覚的に理解できます。
映像伝送の比較動画はこちら
検証による成果
この検証を通じて、上空においてもパケット優先制御の導入によって通信の速度と安定性が向上したことが確認されました。また、閉域環境下での高セキュリティな通信確保が可能になり、ドローンの運用において重要なデータ(映像、バッテリー残量、位置情報など)の安定した伝送が実現しました。
これは、警備や防衛、物流など、セキュリティと通信の安定性が特に求められる分野でのドローン活用をさらに促進することでしょう。
今後の展望
NTT Comは2025年の夏ごろに、LTE上空利用プランのオプションとしてパケット優先制御機能の提供を予定しています。また、検証結果は「Japan Drone 2025」展にて披露される予定で、多くの参加者に最新の技術成果を直接伝える機会となります。詳細は公式ウェブサイトでご確認ください。
今後、NTTコミュニケーションズの取り組みによって、ドローン技術が新たな次元へと進化することが期待されます。