ソフトウェアテストのコスト肥大化に対する企業の戦略と対応
ソフトウェア開発の進化と共に、テストプロセスの重要性は増すばかりです。しかし、これに伴う「コストの肥大化」や「開発期間の長期化」といった悩みが企業の実態を困難にしています。特に、オーティファイ株式会社(東京都中央区)が行った調査によると、ソフトウェアテストにかける費用や工数がいかに企業にとって大きな課題かを浮き彫りにしています。
調査の背景と目的
経済産業省のレポートでは、2030年には約80万人のIT人材が不足すると予測されています。また、日本のIT競争力は低下しており、最新の世界デジタル競争力ランキングでは32位となってしまいました。こうした状況を受けて、多くの企業がコスト最適化や開発力向上を図る動きが進んでおります。
特に、ソフトウェア開発プロセスの中で「テスト」にかかる工数の割合が高く、効率化が期待されています。そのため、オーティファイの調査は「ソフトウェアテストにかけるコスト」に関する実態を把握するために行われました。
調査の概要
この調査は、3,000名以上の従業員を持つ大企業のシステム開発責任者104名を対象に、2024年6月18日から19日に実施しました。調査の結果は、ソフトウェアテストにかけるコストの実態と、それに対する意識を明らかにしました。
ソフトウェアテストにかけるコスト
調査の結果、最も多い回答が「開発費用全体の20~30%未満」というもので、34.6%の企業がこれを占めています。過去の調査では、テストにかかる費用が30%〜50%という結果が数多く見られましたが、今回の調査結果はほぼ変わっていない状況です。
テストに関する悩みと課題
「ソフトウェアテストにおける悩み」を尋ねたところ、51.9%が「リリース後に不具合が発見される」こと、一方で53.8%が「コスト肥大化」を挙げています。テスト工程では時間とコストが重なり、担当者の負担が大きくなっています。これらの悩みは企業の生産性を下げる要因となり、開発の迅速さにも影響を及ぼします。
コスト削減への取り組み
コスト削減のために多くの企業が「テストの自動化」に取り組んでいることも分かりました。調査によると、72.8%の企業がテストの自動化を進め、46.9%が「バグの早期発見」を重視していると回答しています。しかし、テストの自動化を既に完了している企業が0%という事実は、実行にあたる難しさに直面している可能性を示唆しています。
AI活用の期待
また、約9割の企業が「AIの活用」によるコスト削減に期待しており、多くの企業がAI技術の導入を検討しています。AI技術の進化により、ソフトウェアテストの自動化が進むことが期待され、これによって開発コストの削減や、リリース後の不具合発見のリスク低減が図れると考えられています。
まとめ
今回の調査を通じて、ソフトウェアテストにおけるコストに対する企業の意識が明らかになりました。テスト自動化やAIの活用が求められている一方で、それに取り組む企業は未だ少なく、何らかの障害に直面している可能性があります。今後、オーティファイはテストプロセスの効率化に向けて、AIを活用したソリューションを提供し続けることで、企業のコスト削減を支援していく方針です。