JTBが発表した「訪日インバウンドVISION2030」の全貌
2023年、株式会社JTBは訪日外国人旅行者の受け入れを強化し持続可能な観光立国を目指す「訪日インバウンドVISION2030」を発表しました。本戦略は地域との共創を重視し、観光市場の成長を図るための新たな試みです。日本政府は2030年までに外国人旅行者数を6,000万人、訪日外国人旅行消費を15兆円に引き上げる計画を打ち出しており、JTBはその実現を後押しする役割を担います。
戦略の柱と目指す未来
「訪日インバウンドVISION2030」は、地域共創やデータ活用を通じて持続可能な観光地を創出することが目標です。この戦略には、データドリブン型の事業推進と共同で取り組む「共創」と「創客」に焦点を当てています。特に、訪日インバウンドデータプラットフォーム「JTB Tourism HUB」を2026年度中に本格稼働させることによって、訪日外国人旅行者が「また来たい」と感じる魅力的な体験を提供することが重要視されています。
地方自治体との連携
訪日外国人旅行者の受け入れ体制を整えるためには、地方自治体や観光事業者との連携が不可欠です。JTBは「3つの改革」を掲げており、これには戦略的事業領域の策定、積極的な投資による課題解決力の強化、そして訪日旅行の目的となるサービスやコンテンツの創出が含まれます。
1.
戦略的事業領域の策定:JTBは既存の6つの事業領域と新たに追加された1つの領域を整理し、訪日外国人旅行者のニーズに合わせたサービス提供に取り組みます。
2.
積極的な投資:国内営業拠点を強化し、地域に密着した施策を展開。150名のインバウンド専門担当者が地方自治体や企業と連携し、持続的な観光経済の発展を目指します。
3.
サービスやコンテンツの創出:訪日外国人旅行者に魅力をもたらすためのサービスやコンテンツの開発を推進し、具体的な成功事例としてアソビシステム株式会社との戦略的パートナーシップやナイトタイムエコノミーへの対応が挙げられます。
データプラットフォームの構築
「JTB Tourism HUB」は新たなデータ基盤であり、地域の課題を把握、分析、改善するためのツールとして活用されます。このプラットフォームによって、地域ごとの訪日インバウンド事業の推進力を高め、課題を解決する手助けを行います。また、JTBが保有するデータと外部データを組み合わせ分析し、新たなターゲット開拓とストーリー作成が図られます。
CEOのメッセージ
代表取締役社長の山北栄二郎氏は、JTBが1912年に設立された背景を踏まえ、「訪日インバウンドは地域や多様な産業を活性化する大きな可能性を秘めている」と語り、旅行者と地域の双方に価値を創出する努力を続ける姿勢を強調しました。「ONE JTB」として協力し、持続可能な観光の発展に貢献する意志を示しました。
結論
JTBの「訪日インバウンドVISION2030」は、地域共創とデータ活用を基盤に、日本の観光産業を持続的に成長させる戦略です。この施策は、訪日外国人旅行者にとって魅力的な体験を生む土台を構築することで、2030年の政府目標達成に向けた一助となるでしょう。地域とともに新たな観光資源としてのポテンシャルを開花させるその姿勢に期待が寄せられます。