勝浦市が新たな物流システムを実証、買い物難民問題を解決へ

千葉県勝浦市で新たな試みとして、「地域商店街との密着型ドローン物流」に関する実証実験が行われました。この取り組みは、商店街の商品を地域に配送することで、買い物難民問題や商店街の衰退を改善しようとするものです。

この実証実験は、セイノーホールディングスとエアロネクストによって共同開発された新しい物流システム「SkyHub®」を活用しています。具体的には、勝浦中央商店街や興津商店街からの商品を、別荘地や大学、小学校、寺院、民宿、漁港といった地域施設にドローンで配送します。このシステムを通じて、住民の理解を得ると同時に、定期的な配送サービスの実現に向けての課題を洗い出すことが目的とされています。

背景と目的

勝浦市は2021年12月時点で総人口16,386人、面積は93.96 km²と、千葉県南東部に位置する美しい観光地です。長い歴史を誇る勝浦朝市やかつうらビッグひな祭りなど、観光及び商業活動が活発に行われています。しかし、高齢化が進む一方で商店街や観光業は衰退の危機にあります。

そこで、地域商店街の商品を利用者のもとへ届けることで、地域貢献を果たすと同時に、商店街の活性化を図る狙いです。本実証実験には、ドローン配送サービスを専門とするエアロネクストのグループ会社、NEXT DELIVERYが主導しています。

実施内容の詳細

実証実験では、地域の商店街から発送される食料品や日用品の詰め合わせ、さらには人気の勝浦タンタンメンやお寿司のセット、災害時の備蓄品などが取り扱われています。これらは、仮設の2カ所のドローンデポから、地域の6つの仮設ドローンスタンド（往復距離約1.6km〜4.6km）へと配送されます。

初披露となった11日には、勝浦タンタンメンセットが約5分で、興津集会所からミレーニア勝浦管理センター前に届けられ、受け取った顧客は熱々の状態で商品を楽しむことができました。また、国際武道大学のサッカー練習中の学生たちへ向けても、ドローンがバナナなどの食べ物を配達しました。

特に、豊浜小学校の生徒たちには、バレンタインデーに向けたチョコレートが贈られると、大きな歓声が上がりました。このように地域住民のニーズに応えたサービスを提供し、多くの好評を得ています。

今後の展望

今回の実証実験での成果を元に、商店街にドローンデポを設置し、SkyHub®アプリの勝浦モデルも構築する予定です。これにより、ドローン配送と陸上配送を組み合わせた新たな物流システムが進化し、地域のニーズに応じた様々なサービスが提供される見込みです。

この挑戦により、勝浦市の地域活性化や生活の質向上に貢献できることが期待されます。私たちの住環境をより豊かにするための新たな社会インフラの形成に向けて、今後も注目が必要です。