部下の成長を支援する1on1ミーティングの現状と課題についての調査結果

調査による1on1ミーティングと部下の成長支援

株式会社パーソル総合研究所が実施した「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」が発表されました。この調査では、上司と部下の1on1ミーティングがどのように行われているのか、またその効果について分析しています。

1on1の実施率

調査によると、1on1ミーティングの実施率は55.7%に達しました。これは、上司と部下の間での信頼関係構築や部下の成長を目的とした重要な施策であることを示しています。しかし、一方では約3人に1人の部下が「効果を感じない」と回答しており、その実施の背後にはいくつかの課題が存在します。

1on1の課題

この調査は、1on1ミーティングの実態と課題を浮き彫りにしています。特に顕著な点は、上司と部下の間で認識にずれがあることです。上司は部下が多く話していると考える一方で、部下は上司が多く話していると感じることが多かったのです。

また、1on1に満足している部下の割合は約半数にとどまり、「不満・どちらともいえない」という回答も47.5%と高い数値を示しています。これは、1on1に関する学びの機会が不足していることが原因の一つと考えられます。

面談の意義と組織文化

調査結果によると、部下の成長を促すためには「人材育成を重視する組織風土」が重要であることが明らかになりました。活躍しやすい環境や、教育・訓練が手厚い企業では、部下の成長度が高い傾向が見られます。これは、部下が目標設定しやすく、サポートが得られる環境が整っていることを示しています。

さらに、1on1に関する研修を受けた部下は、受けていない部下よりも成長度が高いことがわかりました。これは、研修の内容が実際の業務に役立ち、このような支援が成長に繋がるという結果を表しています。

自己研鑽と成長の関係

部下が1on1に関する自己研鑽を行っている場合、成長度が高い傾向にあります。具体的には、面談に関するマニュアルや書籍を読むことで、部下の成長度は著しく向上しています。このことは、自己研鑽が成長に対する意識を高め、実際の業務にも好影響を与えることを示唆しています。

上司の役割

1on1時に上司が本音を話すことが、部下の成長に最もプラスの影響を与えるとの結果も出ています。上司が部下を支援する姿勢を持っていると、部下はより成長を実感しやすくなるのです。また、上司よりも部下が多く発言する場合や、その日のテーマを決めることも、成長に好影響を与えます。これは、部下の主体性を引き出すためにも効果的です。

実施頻度と成長について

1on1の実施頻度に関する調査も行われましたが、月2～3回の高頻度かつ1回あたりの時間が30分以上1時間未満の1on1が、部下の成長度を最も高める結果となりました。逆に、実施頻度が高いにもかかわらず、時間が1時間を超えると成長度が低くなるとの結果があったため、これには注意が必要です。

結論

本調査を通じて、上司と部下が共に1on1の効果を実感できていない実態が浮き彫りになりました。「育成」を重視する組織文化や、研修を通じたスキル向上が1on1を成功させるためには不可欠です。1on1を効果的に実施し、部下の成長を促進させるためには、継続的な取り組みと組織全体の理解が求められます。

調査結果の詳細については、パーソル総合研究所の公式サイトをご覧ください。