英語リスニング力向上の新たなアプローチ
東京都新宿区に位置するワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(IBS)は、基礎的な英語教育を幼少期から重視し、その情報を定期的に発信しています。この度、IBSは中央大学の斎藤裕紀恵教授と連携し、日本の小学6年生を対象にした英語学習に関する新しい研究成果を公開しました。本研究は、没入型VRプログラム「Immerse」と非没入型テクノロジー「Zoom」を用いて、リスニング力向上の効果を比較するものです。
研究の概要
本研究では、日本の小学6年生18名が参加しました。この生徒たちは、英語力が実用英語技能検定4級に相当し、日常的には日本語を使用しています。ほとんどの生徒は、幼少期から英語に触れており、接触開始の平均年齢は約1.1歳です。実験の対象は、Immerseを使用するVR群と、Zoomを通じて授業を受けるグループに分けられました。さらに、これらは指導経験が豊富な教師によるグループと、指導経験がほぼゼロの大学生のグループに分けられました。実験は8週間にわたり、各参加者は特定の場面設定に基づく5つのレッスンを受け、最後にリスニング力を評価しました。
リスニング力の発達
研究の結果、全てのグループにおいてリスニングテストの平均得点が向上しましたが、特にVR群は事後テストで高評価を得たことが示されました。ただし、経験豊富な教師がZoomを使用して指導した場合、最も高いパフォーマンスを見せたことも明らかになりました。指導が初心者だった場合は、リスニング力の向上は見られたもののその影響は小さい結果となりました。
英語学習への態度
レッスン後の質問票調査によると、Zoom群の参加者は、学習体験を高く評価していることがわかりました。約99%の子どもたちが、実際の環境で英語を使用することにも興味を示し、特に経験豊富な教師によるVR指導のグループは「非常に楽しかった」と表現しました。
研究の意義と考察
本研究は、没入感と教育効果の関連性について新たな視点を提供します。先行研究では、VRの没入感が言語学習において効果的であるとされていましたが、本研究はその仮説を検証し、必ずしも没入感だけが結果を左右するわけではないと示唆しました。生徒たちは、特定のシチュエーションを題材にしたレッスンを通じてリスニング力を向上させることができたのです。文脈が言語学習に頼る重要な要素であることを、今回の研究は示しています。
研究者の概要
本研究はポール・ジェイコブス氏によって主導され、彼は英語教育とバイリンガリズムに関する研究を行っています。ワールド・ファミリーの一員として、彼は学術的な分析だけでなく、実践的な教育普及活動にも力を入れています。
詳しい研究内容はIBSの公式ホームページ(
bilingualscience.com)にて公開されており、英語教育の未来を探る重要な手がかりを提供しています。