生成AI「ALYアシスタント」が医療現場の業務効率化に貢献
近年、医療現場では医師や看護師など医療従事者の人手不足が深刻化しており、働き方改革の推進も求められています。そんな中、注目を集めているのが、生成AI技術を活用した業務効率化です。
熊本県上益城郡にある谷田病院では、株式会社ALYが開発した生成AI「ALYアシスタント」を導入し、大きな成果を上げています。ALYアシスタントは、電子カルテシステムと連携することで、医療文書の作成を自動化。これにより、医師や看護師の事務作業負担を軽減し、患者へのケアに集中できる環境づくりに貢献しています。
谷田病院におけるALYアシスタント導入効果
谷田病院では、ALYアシスタントを用いて「退院サマリー」「看護サマリー」「リハサマリー」の3種類の医療文書を作成。その結果、業務効率の大幅な改善が確認されました。
退院サマリーでは、作成時間が平均67%削減。従来10分要していた作業が、わずか3~5分に短縮されました。
看護サマリーでは、入院期間によって効果に差が見られました。入院期間1週間未満の患者では50%、1週間以上の患者では67%もの作成時間短縮を実現。入院期間が長い患者ほど、多くの情報を整理する必要があり、その負担軽減効果が顕著に表れています。
リハサマリーでも、作成時間が平均33%短縮されました。従来15分かかっていた作業が10分に短縮され、リハビリ担当者の負担軽減に繋がっています。
これらの成果は、2024年10月末までのデータに基づいており、ALYアシスタントの実用性の高さを示しています。
医療従事者からの声
谷田病院の医師、看護師長、リハビリテーション科長からは、ALYアシスタント導入による業務効率化や、患者ケアの質向上への貢献について、高い評価が寄せられています。
医師からは、「退院サマリーの作成にかかるストレスが大幅に軽減され、時間効率も向上した」とコメント。看護師長からは、「入院期間の長い患者の情報も簡潔にまとめられ、非常に助かっている」との声が上がっています。リハビリテーション科長は、特に情報提供書の作成において、過去の記録を参照する手間が省けた点を高く評価しています。
ALYアシスタントの機能と今後の展開
ALYアシスタントは、CSI社MI・RA・Is電子カルテなど複数の電子カルテシステムとの連携実績があります。医療従事者は、数クリックするだけで電子カルテの情報を参照し、医療文書のドラフトを作成できます。自然言語による情報検索機能も搭載しており、必要な情報を迅速に探し出すことができます。
現在、「退院サマリー」「看護サマリー」「リハサマリー」の3種類の文書生成に対応しており、今後「主治医意見書」や「診療情報提供書」にも対応予定とのこと。さらなる機能拡張によって、医療現場への貢献が期待されます。
まとめ
ALYアシスタントは、医療現場のDXを推進し、医療従事者の業務負担軽減に大きく貢献するツールです。谷田病院での導入事例は、その有効性を明確に示しており、今後、より多くの医療機関で活用されることが期待されます。人手不足や働き方改革が課題となる医療業界において、ALYアシスタントのようなAI技術の活用は、質の高い医療提供を支える重要な要素となるでしょう。