NEC発の因果AIスタートアップ「hootfolio」とは
日本電気株式会社の研究所から生まれた新たなスタートアップ、株式会社hootfolioは最近、シリーズAラウンドにおいて、2億円の資金調達を完了しました。この資金をもとに、プロダクト開発や人材採用、国内での事業拡大を進めていくことが期待されます。
因果AIの社会実装を目指す
hootfolioは、「科学的な意思決定を全ての人に」というミッションを掲げ、因果AI技術の社会実装に取り組んでいます。すでに、10年以上にわたりNECの研究所で研究されてきた因果AI技術が、2025年1月にNECから事業譲渡を受ける形で独立したことが特筆に値します。彼らが提供する「causal analysis®」は、因果分析を用いて、従来の手法に比べ約40%施策効果を高めることが実証されており、その運用方法はSaaS型サービスとして設計されています。
高度なデータ分析の簡素化
この因果AI技術を搭載したサービスは、ノーコードで使えるため、専門知識がなくても利用可能です。これにより、従来のデータサイエンティストが手間をかけていた分析作業を大幅に短縮し、1/5から1/10の時間で行えるようになりました。
使いやすいユーザーインターフェース(UI)と充実したサポートメニューによって、マーケティング戦略や政策立案、人的資本の管理など、幅広い分野で因果関係に基づいた意思決定のサポートを実現しています。実際に、すでに多くの大手メーカーや広告代理店、調査会社での導入が進んでおり、これはその効果を物語っています。
ユースケースから見る施策の実行
hootfolioは、因果分析の結果をもとに様々な施策を立案するなどの実績が報告されています。例えば、あるリゾートホテルでは、リピート顧客の意向を高める要因を因果分析した結果、注目すべき施策として「朝食体験」が浮かび上がりました。これにより、従来重視されていたお見送りなどの施策から、地道な改善へとシフトした結果、口コミやリピート意向が向上したとされています。
未来への展望
資金調達を受けた背景には、hootfolioが因果AIのリーディングカンパニーとしての地位を確立することを目指しているという意志があります。セールスおよびマーケティング体制を強化し、さらなるSaaSの事業拡大を図る計画が進行中です。また、経験豊富なデータサイエンティストを採用し、意思決定プロセス全体を支援する新たなサービスを開発する意欲も見せています。
さらに、生成AIとの連携により、自動的に施策案を生成し、効果検証を行うプラットフォームも計画中です。この新サービスは、最短で5日で科学的な意思決定プロセスを完結できるとのこと。今回の進展により、hootfolioは海外市場への進出も視野に入れており、グローバルな展開が期待されています。
結語
代表取締役の笠原健太氏は、hootfolioを通じて、データ分析を越えた新たな意思決定を可能にする社会の実現を目指しています。今回の資金調達により、さらなる成長と社会への貢献が期待される中、我々も今後の展開に注目していく必要があります。