「姫ゆかり 初音の調度」は、名古屋観光ブランド協会が主催する「令和7年度 名古屋観光ブランド協会推奨審査会」にて名古屋市長賞を受賞した煎餅です。この商品は、昨年の9月に発売されたもので、徳川美術館所蔵の国宝「初音の調度」とのコラボレーションが特色です。
受賞商品「姫ゆかり 初音の調度」
この煎餅は、江戸時代以来の技法を用いて二度焼きされたひとくちサイズの「ゆかり」で、内容量は32枚、価格は1,620円(税込)です。発売日は2024年の9月1日で、取り扱いは徳川美術館のミュージアムショップや名古屋市内の百貨店、本社工場売店、さらにはオンライン通販でも可能です。デザインには国宝「初音の調度」のひとつ、「初音蒔絵小角赤手箱」が現代的に表現されており、特にユニークなのは、個包装にもオリジナルのデザインが施されている点です。
国宝「初音の調度」と源氏物語のつながり
国宝「初音の調度」では、紫式部の名作『源氏物語』において、明石の君が詠んだ歌が秘められたモチーフとなっています。具体的には「年月を 松にひかれて ふる人に 今日鶯の 初音きかせよ」という和歌が当時のデザインに隠し文字として表現されています。この和歌は、母が子どもを思いやり、幸せを願う深い愛情を反映していると言われています。
尾張徳川家との歴史的つながり
「初音の調度」は、徳川将軍家の千代姫が嫁ぐ際に持参した婚礼道具であり、2年にわたって作られました。この道具は当時の最高の技術と素材を集結させた芸術品としても知られています。千代姫の婚礼道具としての背景は、幼い子供の幸せを願う母の深い愛情が込められています。
海老せんべい「ゆかり」の由来
また、「姫ゆかり」と名付けられた煎餅には、坂角総本舖の歴史にも深い関わりがある人物、徳川光友藩主が登場します。1666年、光友公が横須賀に御殿を構えたことが起源で、地元漁師たちによって焼かれていた「えびはんぺい」が献上されたことが、「ゆかり」の誕生につながりました。新鮮な海老の身を使用し、風味豊かに仕上げています。
坂角総本舖の伝統と未来
坂角総本舖は、1889年に創業され、以来134年間続く老舗メーカーです。伝統を守りつつ、時代に即したお菓子作りにも力を入れています。「姫ゆかり 初音の調度」は、そんな坂角総本舖の技術と創意工夫が詰まった一品です。これからも、地域の人々に愛される製品を作り続けていくことでしょう。