組込みシステムの新たな挑戦:イーソルとCodeplayの業務提携
2021年11月4日、イーソル株式会社とCodeplay Software Ltd.は、リアルタイムOSプラットフォームであるeMCOS®を用いて、車載アプリケーション向けのオープンスタンダードなプログラミングの実現に向けた業務提携を締結しました。両社はそれぞれの分野において業界の先駆者的存在として知られており、この提携は安全性が求められる組込みマルチコアアプリケーションの開発に新たな道を開くものです。
イーソルは東京都中野区に本社を構える企業で、主に組込みソフトウェアの領域で強力な地位を築いています。一方、Codeplayはスコットランドのエジンバラに本拠を置き、AIや高性能コンピューティング(HPC)におけるヘテロジニアスプロセッサアーキテクチャのオープンスタンダード、SYCL™の開発をリードしています。両社が共同で提案する新たなプラットフォームでは、CodeplayのAcoranソフトウェアがイーソルのeMCOSと統合され、先進運転支援システム(ADAS)の開発者が信頼性の高いフレームワークに自社のソフトウェアを移植できるようになります。
この提携がもたらす影響は計り知れません。データブリッジ市場調査によると、2020年から2027年にかけて、グローバルな組込みシステム市場は年率約6%ずつ成長すると言われていますが、特にAIや自律運転に特化したソリューションの成長はそれを超える見込みです。ADASソリューションの年間成長率は21%、マシンビジョンアプリケーションは34%に達することが予想されています。
この背景には、AIとコンピュータビジョン技術の重要性の高まりがあります。次世代車載システムにおいては、自立運転を支える技術の向上が急務です。イーソルのeMCOSはこの要素を考慮し、マルチコアとメニーコア環境での高性能かつ安全なアプリケーションを実現します。このリアルタイムOSは、一般的なPOSIXインターフェイスを備え、最大限のスケーラビリティを持つことが特徴です。
また、CodeplayのAcoranは、エクサスケールの人工知能に向けた高度なプログラミング支援を行っており、広範なエコシステムを提供します。このプラットフォームは、C++ベースのオープンスタンダードの演算環境を整え、組込みアプリケーションの改革を促進します。
両社の提携にあたっては、今後多様な統合アクセラレータに対応し、AIやコンピュータビジョンの支援にも注力する方針です。これにより、開発者はこれまで以上に信頼性の高い製品を提供でき、交通事故の削減や救命に繋がる自立的な車両制御が実現できるのです。
イーソルの常務取締役である上山伸幸氏は「品質と安全性を求めるお客様に、より高度な自律ソリューションを提供するために、Codeplayとの提携を心から嬉しく思います」とコメント。またCodeplayのCEO、アンドリュー・リチャーズ氏も「eMCOSがPOSIXに準拠していることは、私たちの取り組みに合致します。今後もオープンスタンダードを支持していきます」と述べています。
今回の提携は、ソフトウェア開発者に対して新たな選択肢を提供する重要なマイルストーンであり、急成長を続けるSYCLエコシステムの代表ともなり得るものです。これからの車載アプリケーションの進展に大いに期待が寄せられています。
企業情報
- - イーソル株式会社:1975年に設立。組込みシステム及びエッジコンピューティングに特化したソフトウェアプラットフォームを提供。東京証券取引所一部上場(証券コード4420)。
- - Codeplay Software:2002年設立。AIやHPC向けのアクセラレーション技術に特化し、グローバルなテクノロジーリーダーと連携開発を行う。