鹿島が成瀬ダムで導入した低炭素型コンクリート
鹿島(社長:天野裕正)は、秋田県東成瀬村にある成瀬ダムの堤体打設工事において、低炭素型コンクリート「ECM(エネルギー・CO2ミニマム)コンクリート」を本格的に導入しました。これは、国土交通省成瀬ダム工事事務所の支援の下で進められたもので、計1,526m³のECMコンクリートがダム堤体と造成岩盤コンクリートの一部に使用されました。この取り組みによって、ダム建設工事に伴うCO2排出量を73トン削減しています。
低炭素型コンクリート導入の背景
建設業が引き起こすCO2排出量は、全産業の約4割に相当するとされ、各企業は環境負荷を軽減するための新技術を開発・普及させる必要があります。特に、大規模なダム建設の場合、多量のコンクリートが必要なため、低炭素型のECMコンクリートを利用することで、持続可能な建設へとつながります。また、ダム堤体は大きなコンクリートの塊であるため、温度ひび割れのリスクがある中、ECMコンクリートはそのひび割れへの抵抗性が高く、ダムの品質を守る上で非常に重要です。
ECMコンクリートの特徴
この新たなコンクリートは、従来の普通セメントの代わりに、高炉スラグ微粉末を使用したECMセメントを60~70%混合しています。これにより、一般的なダムコンクリートと比較して、製造時のCO2排出量を52%削減することが可能です。さらに、ECMコンクリートは発熱量が少なく、ひび割れ抵抗性にも優れています。
大規模ダムへの応用
成瀬ダム自体は、CSG(Cemented Sand and Gravel)を主材料とする台形型のダムで、完成後にはその規模が国内最大となる見込みです。堤体内部はCSGで構成されていますが、表層部分やその他の構造物にはダムコンクリートが使用されており、ここにECMコンクリートが適用されます。これにより、ダム工事に伴うCO2排出を73トン削減する成果が上がりました。実際、ECMコンクリートの強度特性はダムコンクリートと同じ水準でありながら、堤体内でのコンクリートのピーク温度も同様の範囲に留まることが確認されています。
今後の方向性
鹿島は今後もECMコンクリートをはじめとする環境配慮型コンクリートの開発・普及に努め、様々な構造物への適用を推進していく方針です。2050年までにカーボンニュートラルを実現すべく、持続可能な社会の構築に貢献していきます。
工事概要
- - 工事名:成瀬ダム堤体打設工事(第2期)
- - 工事場所:秋田県雄勝郡東成瀬村
- - 発注者:国土交通省東北地方整備局
- - 施工者:鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体
- - 工事諸元:台形CSGダム、堤高114.5m、堤頂長755m、堤体積485万m³、貯水量7,850万m³、コンクリート数量40万m³
- - 工期:2023年6月~2026年12月
このように、今回は成瀬ダムでのECMコンクリートの導入がもたらす環境への貢献が注目を集めています。