世界初の冒険に挑むクレイグ・ウッド氏
英国の退役軍人クレイグ・ウッド氏が、三肢切断者として世界初の単独太平洋横断に挑戦しています。彼は2025年3月にメキシコのプエルト・バジャルタを出発し、約7000海里(約13,000 km)の旅を経て、6月下旬に日本の広島港に到着予定です。この挑戦は、障がいに対する社会の意識を変え、インスピレーションを与えることを目的としています。
クレイグ・ウッドの背景
クレイグ・ウッド氏は18歳の時、アフガニスタンでの任務中に即席爆発装置(IED)による爆発に巻き込まれ、両脚と左腕を失いました。その後、2週間の昏睡状態を経て、4年間のリハビリを受け、立ち上がる決意を固めました。彼の抱負は「失ったものを嘆くのではなく、今できることに集中する」ことです。
ウッド氏は、幼少期から家族とともに英国の海岸でセーリングを楽しんでおり、この趣味は後に彼の人生の目的となりました。パラリンピックのセーリングチームとの関わりを通じて、2015年からは家族と共に航海技術を磨く日々を送っています。
設備と技術の支え
彼の挑戦を支えるのは、ドイツの医療福祉機器メーカー、オットーボックの最先端の義肢装具です。ウッド氏は両脚に防水・耐腐食性に優れた義足膝継手『Genium X3』を使用しており、船上や陸上での生活を快適に支えています。また、不安定な船内での作業時には、義足足部『Challenger』を使用。これらの技術により、彼は以前よりも快適に作業ができるようになりました。
「『Genium X3』のおかげで、作業が安定し、以前は挑戦できなかったことに取り組めるようになりました」と語る彼の言葉からは、強い意志が感じられます。
ライブ映像の配信
クレイグ・ウッド氏は、自身の航海の様子を公式SNSで随時配信しています。彼の挑戦は、極限の環境下での「不可能を可能にする」姿勢を世界中に伝えています。
オットーボックの役割
オットーボックは1919年に創業以来、身体の自由な動きを支える革新的な医療機器を提供してきました。その技術力は、パラリンピックにおいても各種支援を行い、障がい者スポーツの発展にも貢献しています。日本においては、1999年に設立されたオットーボック・ジャパンが、先端技術の普及を推進しています。
クレイグ・ウッド氏の挑戦は、ただの冒険ではなく、障がい者への理解を促し、人々に希望を与える重要なメッセージを含んでいます。彼の旅が、革新と勇気をもって新たなステージへと導くことを期待しています。