CULUMUが発表した新たなWebアクセシビリティ評価ツール
株式会社STYZが運営するインクルーシブデザインスタジオ「CULUMU」が、2026年度春季HCD学会研究発表会で新たなアクセシビリティ評価ツール「AXY」の実証成果を発表しました。このシステムは、生成AIを活用し、Webアクセシビリティの評価時間を従来の約95%も短縮することが可能です。
AXYとは何か?
「AXY」は、誰もが必要な情報にアクセスできるようにするための環境を整えることを目的としたツールです。専門知識を持たない開発者やデザイナーも利用できるように設計されています。具体的には、Webアクセシビリティの評価から改善提案に至るまでをシームレスに行うことができます。このシステムは、特定非営利活動法人HCD-Netにて開催された春季HCD学会で紹介され、注目を集めました。
実証実験の成果
本研究では、AXYの有効性を確認するため、実績あるアクセシビリティ専門家による手動評価と比較実験が行われました。実験対象は特定のテストページで、WCAG 2.2に基づく55項目の適合評価が行われました。専門家が手動で評価する場合、107分かかったのに対し、AXYはわずか5分で評価を完了。これにより、評価に必要な時間は約1/20に削減されることが実証されました。
さらに、AXYによる自動評価で確認された16項目において、専門家との一致率はなんと87.5%にも達しました。特に、「問題なし」と判定された項目においては100%の一致率を記録し、非常に高い信頼性があることが示されています。
出力されるレポートの質も評価されており、専門家が提示する修正案よりもはるかに具体的でわかりやすい内容となっています。AXYは、専門知識がない担当者でも理解できるように平易な解説を提供します。
アクセシビリティの課題とAXYの導入背景
ウェブサービスの急成長に伴い、アクセシビリティ対応は非常に重要になっています。2024年の障害者差別解消法改正により、民間企業においても合理的配慮が義務化される中、多くの企業がこの対応に苦労しています。
現状では、専門家による手動評価はコストと時間が非常にかかり、実施が難しいのが実情です。一方、自動評価ツールは構文解析には優れているものの、コンテンツの文脈を読み取ることはできません。そのため、両者の効果的な組み合わせが求められていました。
CULUMUは、これらの課題を解決するためにAXYを開発。このツールが、専門家でなくとも手軽に日常的なアクセシビリティ確認を行えるように設計されています。
今後の展望
CULUMUは、AXYの評価モデルをさらに拡張し、デザイン評価の分野にも取り入れようとしています。具体的には、情報の理解の容易さや専門用語の妥当性、さらにはブランド整合性評価など、感性的な指標を客観的なデータとして扱える基盤を構築することを目指しています。
長期的には、AXYが提供するリソースを利用して、実際の障害を持つ当事者が評価プロセスに関与できるような「当事者との共創モデル」を確立していく予定です。これにより、専門家は単なる規約遵守者から、デザインの改善と社会的普及活動をリードする存在へと変わることが期待されています。
このように、CULUMUのAXYは、単なる技術革新にとどまらず、社会全体がアクセシブルな環境を持つための大きな一歩となるでしょう。