近年、カンナビノール(CBN)の利用が日本で注目を集めています。特に、国内初となるCBNの利用実態調査の結果が発表され、利用者の約84.1%が生活の質の改善を実感したという興味深いデータが得られました。この調査は、くまもと成城病院の正高佑志医師らの協力のもと、VapeMania社の支援を受けて行われました。
CBNとは?
カンナビノール(CBN)は1896年に発見されたカンナビノイドの一種で、近年その商業利用が拡大しています。日本では厳格な大麻規制がある中で、2020年後半から合法的に流通するようになりました。CBN製品は海外と異なる用途で使用されることが多く、今回の研究では日本におけるCBNの利用実態を初めて包括的に分析しました。
調査の背景と目的
VapeManiaではCBNの安全かつ効果的な利用を促進するための情報提供にも力を入れています。本研究は、CBNについての科学的理解を深めることを目的としており、利用者が安心して製品を活用できる環境の整備を目指しています。特に、CBNは他のカンナビノイドに比べて研究が少なく、信頼性の高いデータが不足していることから、専門家と連携し、厳密な調査を行いました。
調査結果:CBN利用者の分布と目的
調査は2023年10月から11月にかけて行われ、547名の回答者の中から515名のデータが有効とされました。その結果、91.1%がヘルスケア目的でCBNを使用していることが判明しました。
- 男性:75.9%(391名)
- 女性:24.1%(124名)
- ヘルスケア目的:33.8%
- レクリエーション目的:26.4%
- 両方を目的とする:38.6%
CBNの主要な利用動機では、不眠症状の改善が最も多く、続いて不安、鬱、慢性痛の緩和を目的とする利用が見受けられました。さらに、睡眠やリラックスの際に使うことが一般的なようです。
生活の質(QOL)の改善
調査によると、CBN利用者は身体的QOLの改善を感じた方が82.7%、精神的QOLでは84.1%が改善を実感したとの回答を得ました。社会的QOLの改善を感じたのは55.4%でしたが、一方で精神的または社会的な生活の質が低下したと報告した利用者はわずか5名(0.1%未満)にとどまりました。
これらの結果は、CBNが生活の質の向上に寄与することを示唆しており、正しい利用方法を広めることの重要性が浮き彫りになりました。
安全性と課題
物質障害のリスクに関しては、調査結果から5.2%の利用者が物質障害の疑いを示しましたが、この割合はカフェイン(約8%)より低く、CBNの依存リスクが限定的であることを示しています。
CBNに関する副作用の報告では、9.9%が何らかの副作用を経験しましたが、そのほとんどが軽微なものでした。医療機関を受診したのは1名(0.2%)にとどまります。
今後の展望
本研究はCBNが多くの利用者にとって有用である可能性を示しましたが、適切な情報提供とガイドラインの整備が急務です。特に、以下の取り組みが必要とされます:
- - ガイドラインの整備:CBNの適切な使用法を明確にし、業界全体で必要な基準を設定する。
- - 研究の促進:CBNの長期的影響や医療応用を探求する。
- - 利用者教育:正確な情報を広く提供し、CBNの理解を深める。
まとめ
調査を通じて、CBNは主に不眠や不安の改善に寄与していることが示され、利用者は比較的高学歴・高所得の層に該当し、処方薬の併用率も高い傾向が見えました。また、CBN製品は主にVape製品として流通し、他のカンナビノイドと併用されるケースが多いことも明らかとなりました。全体的に有害事象の発生率は10%未満であり、安全性が高いことがうかがわれますが、依存リスクについては一定の注意が必要です。この研究は日本におけるCBNの実態を把握する重要なデータとなりました。
論文公開情報
今後もCBNをはじめとするカンナビノイド製品の研究と普及を推進してまいります。