川崎事業所が目指すカーボンニュートラルに向けた一歩
株式会社レゾナックは、神奈川県川崎市にある川崎事業所で水素混焼ガスタービンを導入する新たな事業計画が経済産業省の支援を受けて採択されたことを発表しました。このプロジェクトは、2050年に向けたカーボンニュートラルの実現に向けた一環であり、主な目的は温室効果ガス排出量の削減です。
プロジェクトの概要
川崎事業所では、これまで石油コークスを主燃料とした自家発電設備を利用していましたが、重要なシフトが行われます。一部のボイラ・タービンを廃止し、水素と都市ガスの混焼ガスタービンへと設備を更新します。この新システムは、2030年の第1四半期に運転を開始する予定で、年間で約25.4万トンのCO₂排出削減が見込まれています。
次世代エネルギー技術への転換は、企業の持続可能な成長にとって不可欠であり、川崎事業所の設備更新は、国内で最大のGHG排出点を持つこの拠点にとって特に重要なステップとなります。
環境への影響と競争力の強化
新しい発電方式を導入することで、川崎事業所が製造する製品の環境性能を向上させることが可能になります。たとえば、生活・社会インフラを支えるために必要な次亜塩素酸ソーダやアンモニア、医療用手術手袋の原料となるクロロプレンゴムなどを製造する工場は、調達する電力の脱炭素化が進むことで、環境に優しい製品を提供できるようになります。
また、川崎で発電した電力の一部は半導体材料の製造拠点に供給され、業界全体でGHG排出削減への対応が可能となります。このように、製品の競争力を高めつつ、環境への配慮を強化することは、企業の持続可能な成長に向けた鍵となるでしょう。
地域との協力と未来
さらに、レゾナックは川崎市の「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」に賛同しており、地域の企業や団体との連携を強めています。このプロジェクトを通じて、川崎臨海部のカーボンニュートラル化や産業競争力の維持・強化を目指していく考えです。
投資内容と将来展望
今回の水素発電ガスタービン導入プロジェクトには、217.24億円の投資が必要とされ、そのうち70.83億円が政府の支援を受けます。また、ガスタービンの出力は一般家庭54,000世帯分に相当し、川崎事業所の電力の約40%を担う見込みです。
2030年を見据え、レゾナックは期待される環境規制や市場の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現するために、環境技術と製品の競争力強化を両立させた取り組みを進めていきます。これにより、企業と地域、そして地球環境の持続可能性に貢献することが期待されています。