テクトロニクスが発表した新しいテストシステム
テクトロニクス(東京都港区)が本日、自動テスト分野に革新をもたらす「MP5000シリーズ・モジュラ・プレシジョン・テスト・システム」を発表しました。この新しいモジュール型システムは、エンジニアがコンパクトな1Uメインフレーム内に高精度ソースメータ・モジュール(SMU)やプログラマブル電源モジュール(PSU)を柔軟に組み合わせて使用できるように設計されています。これにより、最新の検証プロセスや生産ワークフローに必要な高い適応性と拡張性を提供します。
MP5000シリーズの特長
今回のリリースでは、60Vの2チャンネルSMUモジュールと2チャンネル50Wのバイポーラ電源モジュールが同時に発表されました。各メインフレームは、最大で6つの独立したチャンネルを構成することが可能で、さらに最大32台のメインフレームを接続できるため、緊密に同期された高スループットのマルチ・サイト・テストシステムが実現します。モジュールの取り外しが容易で、追加や交換も数分で完了できるため、ダウンタイムを最小限に抑えつつ機能の拡張やメンテナンスが可能です。
生産性と精度の両立
テクトロニクスの社長であるクリス・ボーンは「このモジュラ・システムでは、技術革新の要求に応じて、精度と生産性の両方を妥協せずにエンジニアが計測ニーズに対応できる」と述べ、自動テストの未来を見据えたシステムであることを強調しました。MP5000シリーズは、検証や信頼性テスト、大量生産テストなど、あらゆる場面で必要とされる柔軟性と自動化機能を備えています。
高密度設計と高性能
このシリーズの主な利点は、将来を見据えたモジュール構造です。SMUモジュールとPSUモジュールを組み合わせることで、数分でシステムを再構成し、変化する測定ニーズにも対処できます。また、コンパクトなデザインにより、1台のメインフレームで最大6チャンネルの拡張が可能で、並列テストを実現します。
SMUモジュールは、100fAの分解能と1MSa/sのサンプリング速度を誇るため、高速なデータ取得を実現しています。PSUモジュールは、各チャンネルに対して最大50Wの電力供給が可能で、バイポーラ出力や高度な保護機能も兼ね備えています。
自動化機能による効率化
さらに、テスト・スクリプト・プロセッサ(TSP)を内蔵しており、PCと測定器間の遅延を最小化することで、ラック間での高精度な同期を実現しています。Python、LabVIEWやIVIドライバとの統合も可能で、さらに効率的な運用が期待できます。
将来の展望
今回の発表は、テクトロニクスにおける新しいモジュラ開発の出発点となります。現在は、200V SMUモジュールの開発も進行中で、高いパルス性能をもたらすことを目指しています。これにより、半導体やオプト・エレクトロニクス向けの要求に応じたプラットフォームとして、将来のテスト要求に合わせて進化することが期待されています。
MP5000シリーズ・モジュラ・プレシジョン・テスト・システムは、本日より受注を開始し、10月にはMP5103メインフレームとMPSU50-2ST型電源モジュールの出荷が行われる予定です。11月には、MSMU60-2型の60V SMUモジュールも出荷開始される予定です。
このように、テクトロニクスの新しいテストシステムは、未来の自動テストの在り方を変える可能性を持っています。今後の展開に期待が寄せられます。