タイでのペロブスカイト太陽電池の実証事業について
株式会社マクニカが、タイの大手デベロッパーであるSENA Development Public Company Limitedと協力し、ペロブスカイト太陽電池(PSC)の実証事業を開始しました。本プロジェクトは、タイ王国の亜熱帯環境で初めて行われる試みであり、マクニカが主導し、SENA社が協力する形で進められています。実証事業の目的は、PSCが直面する高温・湿潤な環境における耐久性と発電性能を検証することです。
実証事業の背景
ペロブスカイト太陽電池は従来の太陽光パネルとは異なり、軽量で薄く、曲がる特性を持つため、設置が難しかった建物の壁面などへの設置が可能です。これにより、太陽光発電の設置面積を大幅に拡大することが期待されています。しかし、PSCは熱、湿気、紫外線といった外的要因の影響を受けやすいため、亜熱帯環境下での性能検証が求められています。
タイでは、これまでPSCの導入実績がなく、現地の電気規格にも適合したシステムが必要でした。そのため、本実証事業では、高温・湿潤な条件下でのPSCの適合性を検証し、運用やメンテナンス体制を確立することを目指しています。この取り組みにより、タイを中心に東南アジアでのPSCの普及促進が期待されています。
実証事業の進行
実証事業は2024年度から3年間にわたり行われ、まずはタイ王国の電気規格調査を実施して現地に適合するシステムの構築に取り組みます。今年度は、SENA社が管理する住宅にPSCを早速取り付け、初期評価を行いました。2025年度には本格的な実証と運用体制の確立を進める予定であり、住宅の屋根や壁にPSCを設置して「耐久性」や「発電性能」を検証することに重点を置きます。また、PSCをIoT機器と接続し、性能のモニタリングを行うことで、メンテナンス体制の確立も目指しています。
実証の概要に関しては、次のような計画が立てられています。
- - 期間: 2025年10月中旬~2026年2月中旬
- - 場所: タイ王国バンコク都内
- - 内容: 住宅に約60枚のPSCユニットを設置し、高温多湿と大気汚染の環境下での耐久性を検証。現地の電気規格に適応するPSC電気システムの構築・メンテナンス手法の検証を行います。
各関係者の期待
SENA社の代表取締役、ケサラ・タニャラックパーク氏は「このプロジェクトはタイの亜熱帯気候におけるPSCの性能を研究し、実社会に適したシステムの開発を目指しています」と語ります。また、マクニカの執行役員、佐藤篤志氏は「この実証事業はタイを起点にアジア、さらには世界への普及促進を目指す重要な一歩です。今後も自家発電や自家消費の普及を推進していきます」と期待を寄せています。
マクニカの環境への取り組み
株式会社マクニカは、半導体事業に加え、環境問題の解決に向けた取り組みも行っており、循環型経済を推進しています。エネルギーマネジメント、省エネマネジメント、資源循環管理などを通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。これらの取り組みは、将来のクリーンエネルギー社会を築くための大きな一歩です。
まとめ
今回のペロブスカイト太陽電池の実証事業は、タイの気候条件における新技術の可能性を示すものであり、持続可能なエネルギーの未来を切り拓くための重要な試みとして注目されています。環境に配慮した新しいエネルギーソリューションとして、今後の展開が期待されます。