AI観光ガイド「さくら」を搭載した「みまさかスローライフ列車」
2025年11月8日と9日の両日、岡山県の「みまさかスローライフ列車」が特別な運行を行いました。この列車では対話型AIキャラクタープラットフォーム「ToyTalk」を活用した観光ガイド「さくら」を搭載し、新たな旅の体験を提供する実証実験が実施されました。
AIと観光の融合
今回の取り組みは、株式会社ブリッジウェルと岡山県美作県民局の共同事業として行われました。「観光 × AI」をテーマにすることで、旅の経験を一段と向上させることを目的としており、AI観光ガイド「さくら」は57言語に対応しており、乗客との自然な対話を通じて沿線の歴史や観光スポット、駅の案内、さらには運行情報を提供しました。
特に「さくら」は、高速応答が特徴で、平均応答時間はわずか0.3秒。岡山弁での解説も行い、地域の固有情報をリアルタイムで提供することが可能なAIキャラクターとして、多くの乗客に支持を受けました。
実証実験の結果
この実証実験は、116回の会話セッションが行われ、63名のユニークユーザーが参加。会話の平均時間はおよそ131秒で、最長では566秒にも達しました。利用者からの興味を引いたテーマは、観光や見どころに関する質問が78件、運行や時刻、停車案内に関する質問が62件。さらに、地域の歴史や鉄道情報に関する質問も多く寄せられました。特に「美作滝尾駅」や「沿線グルメ」、「歴史」に関する質問は、AIの活用余地を強く示す結果が見られました。
地域固有の情報をAIで提供
一方で、実証実験の中で得られた情報は、地域に特化した固有名詞や歴史的事象に関するもので、多くの質問がこのテーマに集中していることが分かりました。これにより、一般的なAIでは十分に対応しきれない情報が多いことも判明。この実験は、「観光 × 運行 × 歴史」といった要素が乗客の満足度に深く関わっていることを示しています。
このような背景から、地域に特化した情報を持ったAIの必要性が再確認されました。AIガイドとして受け入れられるためには、特に地域固有の話題に強いAIが必要だという重要な示唆も得られています。
今後の展望
実証実験を通じた取り組みについて、岡山県美作県民局の丸山裕介さんは、「みまさかスローライフ列車」での実験を提案したのは約2か月前であると振り返ります。地元の魅力を発信することはいもちろん、AIを楽しく使ってもらいたいとの思いから、キャラクター作成にも力を入れました。特に「美作弁」の再現には苦労しつつも、ブリッジウェルの協力を得て、より良い対話システムを実現できたと話しています。
「ToyTalk」を通じたAIの活用は、今後も地域の課題を解決する重要なツールとして期待されています。観光客や地域住民にとって、AIがもたらす旅の新たな価値創造に向けて、岡山県とブリッジウェルは密接に連携し続ける意向を示しています。
ToyTalkについて
「ToyTalk」は、株式会社ブリッジウェルが開発した対話型のAIプラットフォームです。誰でも簡単に情報を持ったAIキャラクターを作成できるため、様々な観光案内や行政窓口、イベント情報などに利用されています。特別な技術や知識は必要なく、地域や施設に固有の情報を登録することで、自分だけのAIキャラが自然に会話しながら案内することが可能です。多言語対応や迅速な応答も特徴で、このプラットフォームは今後の観光業に新たな風を吹き込むことでしょう。
詳細は
こちらから。