商船三井がアフリカでの事業拡大を目指す
株式会社商船三井は、2025年8月に開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)において、アフリカ事業に関連する取り組みを紹介しました。今回のイベントは、商船三井にとって3度目の参加となり、アフリカ市場でのビジネス展開をさらに加速するための重要な機会となりました。
展示ブースと多様なセッション
商船三井は、パシフィコ横浜で開催された「TICAD Business Expo & Conference」に出展。ブースでは、アフリカにおける多様なプロジェクトを紹介し、各種のセッションにも登壇しました。特に注目されたのは、アフリカ経済の拡大に応じた海上輸送や内陸部の物流の課題を取り上げた「インド洋・アフリカ経済圏フォーラム」です。ここでは、経済圏の地理的視点から商船三井の戦略が語られました。
代表取締役副社長執行役員の篠田敏暢は、インフラ面での電力・燃料供給の不安定性や制度の不確実性など、アフリカでの課題について話し、これらを乗り越えるための提案を行いました。さらには、商船三井のアフリカでのパートナーシップ戦略がどのように今後の事業成長に寄与するのか、価値ある議論が交わされました。
LNG発電船とロジスティクスの融合
「アフリカの持続可能な成長を支えるLNG発電船事業」セッションでは、常務執行役員の渡邉達郎が登壇しました。アフリカの都市化が進む中で、電力インフラの未整備や気候変動への対応が求められる現状に対し、商船三井が提案するのはLNG発電船とロジスティクスの組み合わせです。この新たなモデルは、即応可能な電力供給を実現し、将来的には再生可能エネルギーやグリーン燃料の活用も視野に入れています。
医療物流の新構想
商船三井の取締役会長、八嶋浩一が登壇したことでも注目されたのは、医療物流の新たなチャレンジです。ケニア・モンバサ港にて行われるヘルスケア物流ハブ構想について説明し、医療キットの組み立てや物流コスト削減のための物流センターの設立計画に言及しました。
環境に配慮したエネルギー政策
グリーン水素に関するパネルディスカッションでは、専務執行役員の梅村尚が登壇。アフリカにおけるグリーン水素の可能性やその課題を解決する方法について議論が進められました。習得した知見は、今後の事業展開において重要な角度からアプローチするための基盤となるでしょう。
MOU締結で新たな一歩
TICAD 9の期間中、商船三井はアフリカ関連プロジェクトについて5件のMOUを締結しました。今後もアフリカでの事業展開を積極的に進め、商船三井のさらなる成長を目指して取り組んでいくことが期待されます。具体的には、インド・アフリカ間の自動車商流、太陽光パネルの設置プロジェクト、ケニアにおけるヘルスケア物流の開発などが含まれています。
約100年の歴史と未来へのビジョン
商船三井は1926年に日本とアフリカ東岸を結ぶ定期航路を開設して以来、アフリカとともに歩んできました。近年では、南アフリカ、モザンビーク、ケニアなどに拠点を持ち、海上輸送だけでなく多岐にわたるビジネスを展開。今後も「BLUE ACTION 2035」の計画のもと、アフリカでのさらなる成長と持続可能な地域社会の構築に貢献していきます。