中小ゼネコンが若手技術者を育成する新たな試み
1955年に創業した八木建設株式会社(埼玉県本庄市)は、建設業界の人材育成に新しいアプローチを始めます。2026年7月に社内大学「YAGIビルドアカデミー」を開校し、若手技術者の計画的な育成と建築人材の確保を目的としています。この取り組みは、業界全体が抱える人手不足や人材定着の難しさを解消する重要なステップとなるでしょう。
建設業の課題と育成の必要性
建設業界では、若手社員の教育がOJT任せになっていることが問題視されています。熟練の先輩が持つノウハウや技術が正確に伝わっていない場合も多く、企業方針と異なる情報が受け継がれてしまうこともあるのです。このような「育成の属人化」は、業務の効率や品質にも影響を及ぼすため、解決が急務です。八木建設も若手が判断に迷う場面があったため、しっかりとした育成システムの導入を決意しました。
YAGIビルドアカデミーの概要
「YAGIビルドアカデミー」では、3年間の育成プログラムに基づいて年間24講義、合計56時間の教育訓練を就業時間内で実施します。1年目には現場で必要な基礎知識を体系的に学び、2年目には具体的な施工プロセスを理解する内容が計画されています。また、施工管理技士の資格取得をサポートし、現場の責任者へと自信を持って成長できる環境を整備しました。
プログラム内容の一部を紹介
コースでは、顧客や協力会社とのコミュニケーションスキルや、見積り、施工計画書の作成方法の指導も行います。さらには、地鎮祭や現場の整理整頓、事故防止の取り組みについても学びます。このように現場で役立つ多様なトピックを通じて、実践的なスキルを習得することができます。
教材と講師の質の向上
事業の成長には質の高い教育が不可欠です。講義は主任や管理職が担当し、将来的には若手職員が講師として教育する機会も作ることで、教える経験を積むことができるようにします。テキスト作成には経営者も関与し、社内に蓄積された情報をまとめた教材が提供されます。また、外部との連携も活用し、教育の質を高めていく方針です。
学校向け企業説明会の実施
YAGIビルドアカデミーは、学校向けの説明会を通じて学生からもポジティブな反応を得ています。今後はカリキュラムの具体的な内容を提示し、教育体制を「見える化」することによって、学生の信頼と企業の採用力を高めていくことも検討しています。
代表からのメッセージ
八木建設株式会社の代表取締役社長、八木雅之氏は、「これからの建設業を支える若手技術者の成長を促すため、社内大学を通じて人材育成に力を入れたい」と述べています。この新しい試みが、地域の現場を支える責任ある人材の育成につながることを期待しています。
このように、八木建設が展開する「YAGIビルドアカデミー」は、建設業界における人材育成の新しいモデルとなるでしょう。今後の展開に注目です。