ノーコードで未経験者を育てる新プログラム
日本ではIT人材が不足しており、特に2023年度の調査によると約86%の企業がDXを推進するための人材が不足していると回答しています。この状況を受けて、綜合キャリアオプションが発表したプログラム『キャリアファンド』が注目されています。これは、未経験者を対象にAIアプリエンジニアを育成し、派遣することを目的としたものです。
デジタル人材の不足とその背景
日本のデジタル化の進展は、世界と比較すると遅れをとっています。2024年版の『世界のデジタル競争力ランキング』では、日本は31位という結果に。特に、デジタル・テクノロジーのスキルにおいては67位と最下位となっており、このままでは日本企業の競争力が危ぶまれます。2030年には79万人のIT人材が不足するとも言われており、そのうちAI関連のデジタル人材は14.5万人にのぼるとされています。
ノーコードエンジニアの必要性
多くの企業がDXを進める中でプログラミング知識を持つエンジニアの育成は非常に時間とコストがかかります。しかし、ノーコードツールを導入することで、未経験者でもアプリ開発が可能となるのです。たとえば、ドラッグ&ドロップで直感的にアプリを開発できるノーコードツール『Click』を使えば、短期間の研修でエンジニアとしてのスキルを身につけられます。日本企業の約22%がDX推進にノーコード/ローコードを活用していると回答していますが、これは米国の47%に比べるとまだまだ改善の余地があります。
キャリアファンドの特徴
『キャリアファンド』は、綜合キャリアオプションが2024年4月に立ち上げたプログラムで、独自の教育カリキュラムを提供します。このカリキュラムでは、ノーコードツールを使用してAIアプリを開発する能力を養成します。研修を受けたエンジニアは、クライアントのニーズに応じて業務を支援し、アプリの仕様定義から運用支援まで行います。さらに、ピアツーピア学習やOJT学習などのサポート体制も整っており、未経験者でも安心して学べる環境が整っています。
実績と今後の展望
すでにこのプログラムから50名以上が派遣され、3,000件以上のアプリが開発されています。特筆すべきは、地方自治体向けの給付金申請アプリや、物流業界の在庫管理アプリなど幅広い用途に対応したアプリが開発されている点です。このように、実際の業務に即した形での教育が行われており、日本の企業が求めるスキルを持つデジタル人材を供給する体制が徐々に整ってきているのです。
ノーコードツール『Click』の利点
今回のプログラムで使用されるノーコードツール『Click』は、日本発のシェアNo.1のツールです。プログラミングの知識がなくても、iOS、Android、Webアプリを短期間で開発できる点が特徴です。直感的な操作が可能であり、複数の媒体に対応できるため、ビジネスのニーズに応じたアプリ開発が実現します。同ツールは外部サービスとのAPI連携も可能であり、企業のオペレーションを効率化する強力なツールとして期待されています。
今後の展開
綜合キャリアオプションはこのような新しい取り組みを通じて、デジタル人材の育成を加速させ、日本の業務デジタル化を推進することを目指しています。更なる成長が期待される『キャリアファンド』により、今後ますます多くの未経験者がAIアプリエンジニアとして活躍できる未来が見えてきました。日本の労働市場において、デジタル人材の育成は急務であり、このプログラムがその一翼を担うことになるでしょう。