AIで鳥獣対策
2026-03-11 15:51:41

AIとIoTで進化する鳥獣対策─見回り負担を劇的に削減

AIとIoTで進化する鳥獣対策─見回り負担を劇的に削減



近年、農作物被害や人身被害が深刻化している鳥獣問題。その一因として狩猟者の数が著しく減少してきました。環境省によれば、登録狩猟者数はかつて約50万人のピークから約20万人にまで減少し、その過半数は60歳以上という状況です。限られた人員で、広範囲に散在する罠を管理し、安全を確保するためにはどうすればよいのか。これに応えるべく、株式会社ソラコムと株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック(JWP)は、IoTとAIを活用した事例を紹介する共催セミナーを開催しました。本記事では、そのセミナーの内容を詳しくレポートします。

IoTがもたらす効率化


セミナーの初めに、ソラコムの井出氏がIoTの基本概念と地域課題への応用例を説明しました。IoTとは、センサーやデバイスをネットワークに接続し、人手を介さずにデータを集約・制御する仕組みです。ソラコムは、このための「デバイス」「通信」「クラウド」をワンストップで提供。特に屋外でも安定した通信が可能な長距離無線技術を展開しています。

ひとつの事例として、養豚場での飼料残量管理が挙げられます。従来は人がサイロに登り、音の変化から残量を推測していましたが、これは危険な作業です。この作業をセンサーにより自動化することで、転落リスクを低減し、確認作業も大幅に削減。またこれにより在庫管理の精度も向上しました。こうした危険な見回り作業の効率化は、鳥獣対策の観点からも非常に有効です。

山間部に点在する罠の管理は、高齢化が進む狩猟者にとって重大な課題。定期的に巡回しなければならず、その負担は相当のものです。

鳥獣被害の現実


次に登壇したのはJWPの佐々木氏で、鳥獣被害の実態と狩猟の基礎知識が紹介されました。鳥獣被害は農林被害、生活環境被害、人身被害の3つに大別されます。特に近年はシカやイノシシによる被害が増加しており、一時的に減少した被害額が再び上昇してきています。

鳥獣対策では、「守る」「離す」「捕る」の3ステップが基本です。この中で最も難しさが求められるのが「捕る」という段階で、特に箱罠を使ったイノシシの捕獲における餌付けの重要性が強調されました。佐々木氏は、「餌付けが成功するかどうかが、捕獲の結果を大きく左右します」と述べました。イノシシは警戒心が強いため、初めから捕まえようとしても難しい。時間をかけて罠に慣れさせる必要があります。

この際、テクノロジーは現場知を補完する役割が求められています。

IoTデバイス「ワナベル」の成果


続いてJWPの技術担当である佐藤氏が、IoT検知デバイス「ワナベル」の構造と導入成果を紹介しました。ワナベルは、罠の扉が閉まったりワイヤーが引かれたりする物理的な動作を利用し、センサーが作動。これにより、罠が実際に作動したことを確認できます。これにより、見回りにかける時間を大幅に削減できるというのです。

実際に大阪府での導入実証では、見回り工数が36時間からたった3.4時間に減少し、90.7%もの削減を実現しました。通知を受けた罠だけを確認すれば良くなったため、限られた人員でも効率的な捕獲が可能になりました。

ワナベルは自治体だけでなく、個人のハンターにも導入できるため、関心を持つ人が増えているとのことです。

AIを活用した熊対策


セミナー後半では、特に注目されている熊被害への対策がテーマとなりました。青森県ではリンゴ畑や水田で作業中に熊に襲われるケースが増加しており、農作物の被害だけでなく人命にも関わる重大な問題です。JWPは、AIによる自動検知と威嚇システムを使った実証実験を行っており、熊を追い払うための技術が注目されています。

このシステムは、入手しやすい材料で構成され、カメラが畑を監視し、AIが動物を検知すると通報と警報音を鳴らします。弘前市の実証実験では、熊が追い払われる様子が確認され、農家にとって安全を確保する貴重なツールとなることが期待されています。

まとめ


本セミナーから得られた大きなヒントは、鳥獣対策において泥臭い現場知と最新のテクノロジーが相互に補完し合うことの重要性です。見回り作業や捕獲方法には人間の経験が不可欠ですが、広範囲の監視やリアルタイムの情報収集はテクノロジーの得意分野です。この融合により、見回り工数の大幅な削減や現場の安全確保が可能になりました。これからも、テクノロジーを活用した地域の課題解決が期待されます。


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会社情報

会社名
株式会社ソラコム
住所
東京都港区元赤坂1丁目5−12 住友不動産元赤坂ビル 9階
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