黒い蜻蛉の魅力
2024-10-03 18:42:09

小泉八雲を描いた小説『黒い蜻蛉』出版記念イベントの魅力

小泉八雲を描いた小説『黒い蜻蛉』出版記念イベントの魅力



2024年8月30日に佼成出版社から刊行された『黒い蜻蛉──小説 小泉八雲──』の出版を記念した読書会とサイン会が開催されました。このイベントでは、著者のジーン・パスリーさんと翻訳者の小宮由さんが参加し、参加者と共に作品についての意見交換が行われました。本書は、小泉八雲の生涯にフィクションを加え、彼の人間性を描写した唯一の邦訳小説です。

小泉八雲についての新しい視点


ジーン・パスリーさんは、小泉八雲がトンボになりたいと願っていたのではないかという独自の視点を持っています。彼女は、日本の自然や生き物に対する八雲の深い愛情を表現するため、トンボを象徴として作品に取り入れました。参加者からの質問に対して、パスリーさんは「トンボは暗い水の中で成長し、空を飛び立つ存在です。小泉八雲の人生もまた、暗い世界から羽ばたく姿と重なる」と答えました。この見解は、参加者にとっては新たな視点を提供し、八雲を理解する手助けとなったようです。

読者の感想に寄り添う


イベント中、ある参加者が「八雲のことが好きになれなかったが、読んでいくうちに彼を理解できるようになった」と述べると、パスリーさんはこの反応に興味を示しました。彼女は、作品に最初プロローグが存在しなかったことを語り、お友達から同様の感想を受けたことを共有しました。「読者に主人公を好きになってもらうには、作者がその背景を描くのが重要だと考えた」と彼女は語りました。これにより、参加者は作品への理解が深まるとともに、著者の創作に対する思いを感じることができました。

タイトルに込められた意図


翻訳者の小宮由さんは、本書のタイトルが「トンボ」と「蜻蛉」の違いに込められた意義を説明しました。彼女は、「通常の『トンボ』は生物的な表現であり、漢字の『蜻蛉』は八雲の象徴としての意味を持たせている」と述べました。この解説により、参加者は作品の中での表現に対する深い理解を得ることができました。

現代におけるジェンダー観


イベントでは、八雲の妻・セツの姿に理想を感じた参加者がその葛藤を述べる場面もありました。これに対し、小宮さんは「その時代の女性像は以前の社会状況に基づいているので、現代と比べると当たり前のように変わる」と説明し、バランスの取れた見解を示しました。

参加者との交流を大切に


読書会の終盤、小宮さんは参加者との濃密な交流ができたことを嬉しく思っていました。パスリーさんも、より多くの人に小泉八雲の魅力を知ってもらいたいとの思いを語り、イベントは和やかな雰囲気の中で終了しました。その後のサイン会では、本書に関する感想や意見を交わし、穏やかな時間が流れました。

出版記念イベントは、多くの参加者にとって新たな発見の場となり、小泉八雲という偉大な作家についての理解が深まるきっかけとなりました。今後も八雲の物語を通じて、彼の魅力に触れてみることをお勧めします。


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会社名
株式会社佼成出版社
住所
東京都杉並区和田2-7-1 普門メディアセンター
電話番号
03-5385-2311

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