失語症と闘う朗読劇
2023-05-01 20:14:00
「失語症」と闘う朗読劇!言葉を取り戻す挑戦が感動を呼ぶ
「失語症」と闘う朗読劇:言葉を取り戻す感動の物語
脳卒中や外傷性脳損傷などによって、話す、聞く、読む、書くといった言語機能が大きく損なわれる「失語症」。この深刻な障害と闘いながら、朗読劇で表現することへの挑戦が注目を集めています。2023年7月1日、品川区立総合区民会館(きゅりあん)で上演された朗読群像劇『言葉つなぐ明日へ〜語れぬ者たちの朗読教室物語〜』は、その挑戦の軌跡を鮮やかに描き出しました。
この朗読劇の企画・演出を手掛けたのは、一般社団法人ことばアートの会代表理事の石原由理氏。石原氏自身も2013年に脳梗塞で失語症を発症。かつては戯曲翻訳家として活躍していた石原氏にとって、言葉の喪失は計り知れない苦痛でした。しかし、朗読を通して、失われた言葉を取り戻そうとする試みが、自身の再生への道を開きました。
朗読がもたらす奇跡:リハビリを超えた魂の再生
石原氏は2021年12月より「失語症者のための楽しい朗読教室」を開設。延べ20名以上の失語症当事者を指導してきました。この朗読教室では、単なる朗読の練習だけでなく、演劇的な表現を取り入れた指導も行われています。言葉が思うように出てこない中で、表情や身振り手振りといった非言語的な表現を取り入れることで、より深く感情を伝え、言葉の回復にも繋がるというアプローチです。
今回の朗読劇には、7人の失語症当事者のほか、高次脳機能障害の当事者、そして石原氏の旧友である元宝塚歌劇団男役スターの真野すがた氏、健常者も参加。文筆家である鈴木大介氏による書き下ろし短編小説を、石原氏が朗読脚本化しました。参加者たちは、それぞれの経験や思いを込めて、言葉と表現の限界に挑戦しました。
言葉の壁を越えて:感動の朗読群像劇
朗読劇では、単なる朗読だけでなく、演劇的な演出を取り入れ、参加者たちはそれぞれの個性と才能を存分に発揮。時にユーモラスに、時に感動的に、言葉の壁を超えた表現に、観客は心を揺さぶられました。公演後には、多くの観客から感動の声が寄せられました。
社会へのメッセージ:見えない障害への理解を深める
この朗読劇は、失語症という「見えない障害」を持つ人々の生き様を社会に伝える、重要な役割を果たしました。パラスポーツなど、目に見える障害への理解は進んできましたが、「見えない障害」に対する理解は、まだまだ十分とはいえません。この朗読劇は、障害を持つ人々が社会の中でどのように生きているのか、その現実を改めて私たちに突きつけました。
今後の展望:朗読教室の更なる発展
石原氏率いることばアートの会は、今後も朗読教室を継続し、失語症当事者への支援を続けていくとのこと。朗読を通じたリハビリ、そして、表現活動の場を提供することで、失語症当事者たちの社会参加を促進し、より多くの人の心を動かす活動に繋げていくことを目指しています。
この朗読劇は、単なるエンターテインメントを超え、社会に大きなメッセージを投げかける、感動的な舞台となりました。失語症という障害への理解を深め、共に生きる社会の実現に向けた、一つの大きな一歩と言えるでしょう。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人ことばアートの会
- 住所
- 東京都品川区南大井3-35-7フェニックス大森402号
- 電話番号
-
03-6824-5450