建設業界のデジタル化の現状と今後の展望
株式会社アイピアが行った "建設業界の業務課題とDX・ERP導入に関する実態調査" の結果が発表されました。この調査は、建設業の経営者や管理部門に焦点を当て、現在の業務効率化の状況とERP(Enterprise Resource Planning)導入の実態を探ることを目的としており、いくつかの重要なポイントが浮き彫りになりました。
1. 業務課題の現状
調査によれば、約6割の企業が業務に何らかの課題を抱えていることが示されています。特に突出しているのは、原価や利益のリアルタイム把握に関する問題です。具体的には、24.7%が「原価・利益をリアルタイムで把握できない」と回答し、続いて24.1%が「Excelや紙管理が多く非効率」と感じていることが明らかになっています。
これらの課題は、経営判断の遅れを引き起こし、企業全体の生産性に影響を与えるため、早急な改革が求められています。特に、情報共有ができていない、業務が特定の人に依存しているといった点も、重要な改善点として挙げられました。
2. ERP導入の現状と課題
驚くべきことに、建設業向けのERPソフトウェアをすでに導入している企業はわずか5.2%という結果が出ました。一部の業務のみ導入している企業を含めても、全体の導入率は17.5%にとどまります。一方で、53.4%もの企業が「導入予定はない」との回答をしています。
これはデジタル化の必要性を感じてはいるものの、建設業界特有の複雑な業務プロセスや慣習に適したシステムを選めないことが原因であると考えられます。さらに、導入における最大の障壁として挙げられるのが「費用の面」と「現場での使いこなしに対する不安」です。
3. 導入の期待と障壁
ERPを導入することで得られる期待される効果は、「業務時間の削減」が最も高い43.1%となりました。次いで「ミスの防止(36.3%)」、「原価・利益の見える化(35.5%)」が続きます。しかし、一方では導入に対する心理的障壁として「費用が高い(30.4%)」や「現場で使いこなせるか不安(29.5%)」、「社内に定着しなさそう(24.7%)」との懸念が浮上しています。これらの要因は、建設業のDX推進を妨げていると言えます。
4. 導入時の重視ポイント
ERP導入において最も重視されるポイントは、「操作の分かりやすさ(42.3%)」が最も高い評価を得ており、費用対効果(41.3%)にわずかに勝る形になりました。この結果は、建設現場での使いやすさや心理的な障壁を越えるためには、システムのシンプルさが重要であることを示しています。特に、細かい機能よりも、現場で簡単に理解でき、使いやすいことが成功の鍵だと言えるでしょう。
5. まとめ
本調査の結果からは、建設業界におけるデジタル化の進展がいかに遅れているかが明らかとなりました。また、業務効率化やデジタルツールの必要性は高まっていますが、導入への不安や理解度がそれを妨げている状況にあります。これからは、経営層は業務の見える化や業務効率の向上を果たしつつ、現場の職人や事務担当者がストレスなく使えるシステム選定に注力することが求められます。今後の建設DX成功の鍵は、現場目線を取り入れたシステム選定や導入プロセスの見直しにあるでしょう。