熊本の新たな水産業の形:サーモンといくらの陸上養殖
最近、有限会社ひらやまと株式会社Genki Global Dining Conceptsが、熊本県八代市において新たな陸上養殖プロジェクトを開始しました。この取り組みは、サーモンに加え、国内の水産業では依然として希少な「いくら」の陸上養殖にも焦点を当てています。両社は、様々な要因が絡み合う国内外の市場を見据え、サーモンといくらの安定供給体制の構築を目指しています。
協業の背景と目的
このプロジェクトを進めるにあたり、Genki Global Dining Conceptsは有限会社ひらやまの養殖技術の高さに強い関心を寄せています。「桃太郎サーモン」として知られる高品質なサーモンを生産してきたひらやまの技術や成熟した養殖環境と、グローバルに飲食業界で展開するGenki Globalのビジョンが合致した結果、協業が決定されました。
特に、最近の市場ではいくらの価格が高騰しており、調達難も続いているため、安定した生産システムが求められています。この状況下で、両社はサーモンといくらの養殖を一つの基盤で実施する先進的な取り組みを行うことで、マーケットのニーズに応えていくことを目指しています。
サーモン陸上養殖の拡大計画
当初、両社は36槽でのスタートを計画していましたが、今後7年で1,000槽規模へと拡大する協議を開始しました。この拡大が実現すれば、年間の生産量は最大1,000トンに達し、約26万匹もの魚が育成されることになります。
この生産体制を確立することにより、以下の目標を達成可能となります:
1.
安定したサーモンといくらの通年供給
2.
輸入品よりも低コストでの生産
3.
魚べいを中心とした全店舗で国産のプレミアムな寿司の提供
これにより、消費者に新たな価値を提供することが可能となります。
陸上養殖の重要性
「国産いくら」の陸上養殖は、いま流通するいくらの品薄や調達難の解消に寄与することが期待されています。具体的には、現在不漁が続いている秋サケの影響を受けない養殖環境を構築し、安定した生産を追求していくことが目指されています。その結果、魚べいを含む全店舗で国産いくらが提供されるという未来の実現に向けて、特に注力しています。
放流祭の開催
このプロジェクトの一環として、サーモンの放流祭が開催されました。この式典は地域社会との結びつきを深め、水産資源の保全や持続可能な養殖技術への理解を促進する貴重な機会となりました。参加者は育成中のサーモン約500匹を放流し、成長と安全を祈願しました。
在るべき未来
ひらやまは、インフラや技術の拡張を図りながら、持続可能な養殖の新しいモデルを確立していくことを目指しています。平山社長はこの協業を通じて、「日本におけるサーモン・いくらの養殖モデル」に挑戦すると宣言し、Genki Globalの藤尾社長もこのプロジェクトの意義を強調しています。両社の力を結集することにより、日本の水産業の未来が大きく変わることが期待されています。
今後の展望
プロジェクトは2025年11月から本格的にスタートし、2032年には、目標とする1,000槽体制を整える予定です。2027年の春には、いくらとサーモンの素材を用いた商品を一部店舗で展開することを目指しています。具体的には、魚べいを含む全店舗で国産の高品質な素材を使用した寿司が楽しめるように、順次準備を進めています。
この新たな養殖の試みが、日本の水産業にどのような影響をもたらすのか、全く新しいステージに足を踏み入れた両社の今後の展開に注目が集まります。