配電工事の未来を変える複合動作アシストスーツの開発
近年、少子高齢化が進む日本の建設業界、特に配電工事の現場では、労働人口の減少と作業員の高齢化が深刻な問題となっています。こうした状況を受けて、株式会社ダイドーは、関電工およびニシヤマと協力し、配電工事に特化した「複合動作アシストスーツ」を開発しました。このスーツは、配電工事現場での作業をより安全に、かつ効率的に行えるよう設計されています。
高齢化と作業の危険性
配電工事は、電柱上や高所作業車内で行われるため、作業員には常に危険が伴います。腕を高く上げたり、身体をひねったり、さらに引き寄せるという複雑な作業を繰り返すため、身体的な負担は大きいものです。従来のアシストスーツは単純な上下動作に特化しているため、配電工事ならではの複合動作には適していないという課題がありました。
複合動作アシストスーツの特長
ダイドーが開発した「複合動作アシストスーツ」は、その独自の非電動・機械式機構を用いて、腕の「上げ下げ」「ひねり」「曲げ伸ばし」の動きすべてをサポートします。このスーツの最大の利点は、作業員が持つ体力を大幅に軽減しつつ、作業環境を選ばないことです。軽量で約2.5kgという設計は、現場での取り扱いを容易にします。
技術的裏付け
本製品の技術は、東京電機大学との共同研究に基づいています。筋電位計測やモーションキャプチャを用いた研究により、特に経験の浅い若手作業員において、スーツを装着した際に動作フォームが安定し、筋活動のばらつきが抑制されることが確認されています。この成果は、アシストスーツが単なる補助具ではなく、技能習熟を支援するツールとしての価値を持つことを示唆しています。
現場への導入事例
このスーツは、間接活線作業や張線作業、さらには支持腕金装柱作業、掘削作業など、さまざまな現場での利用が期待されています。実際に、これらの作業において複合動作アシストスーツが導入されることで、効率的かつ安全な作業が実現されることでしょう。
業界の反響
最近開催された「JECA FAIR 2025」では、このアシストスーツに関する資料のダウンロード数が全出展者中トップ5にランクインするなど、業界からの関心は非常に高いといえます。このことからも、配電工事の現場における改革が期待されていることが伺えます。
切り開く未来
ダイドー、関電工、ニシヤマが共同開発した複合動作アシストスーツは、変わりゆく配電工事の現場に新しい風を吹き込む存在となるでしょう。人材育成の効率化や、長期的な安全確保への貢献が期待されており、今後の普及に期待がかかります。