ヤマハロボティクスがCEATEC AWARD 2025で栄誉を受賞
ヤマハロボティクス株式会社が、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトの成果を殊勲賞として「CEATEC AWARD 2025」のイノベーション部門賞に輝きました。この栄誉は、同社と国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、東京理科大学との共同研究における「ポスト5G向けチップオンウェハダイレクト接合技術」の開発によるもので、AIの進化に寄与する環境に優しい技術として評価されています。
受賞技術の概要
受賞した技術は、「AIの進化に貢献する、環境配慮型チップオンウェハダイレクト接合技術」です。この技術は、複数の半導体チップを3Dで実装するダイレクト接合技術を利用しています。これにより、今までの接合工程で大きな課題であった、半導体チップの表面に残る異物の削減を実現しました。また、50μm以下の非常に薄いチップを高い生産性と良好な歩留まりで積層することができます。
NEDOは「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」を行っており、この一環として、チップオンウェハダイレクト接合の研究を進めています。今回はその成果に基づき、特にイノベーション性が高いと評価され、受賞に至りました。
問題解決のアプローチ
近年、AIの進化とともに高性能なデバイスの需要が急増しており、特に3次元実装技術への期待が高まっています。従来の製造プロセスでは、産業界が求める高機能と高速伝送を実現するために、電極間の挟ピッチ化や低抵抗化、さらにはチップの薄型化が求められています。しかし、積層するチップ表面に残る異物が接合品質に悪影響を与え、その結果歩留まりが低下するという問題がありました。
この課題を解決するために、ヤマハロボティクスは異物除去洗浄技術を開発しました。この技術では、環境に優しい水素水を使用して異物を除去する方法を採用しており、薬剤を使わないため、環境負荷を低減しながら清浄な状態を維持できます。また、超音波を使った非接触ハンドリング技術も導入されており、厚さ50μmの極薄チップにも対応可能です。
さらに、異物検査技術によって、不透明なシリコンくずや半透明な樹脂系異物などの検査も強化され、後工程での異物管理が可能になりました。
今後の展望
受賞した技術は、今後フリップチップボンダの商品化や各要素技術の応用展開が予定されています。この取り組みを通じて、先端半導体デバイスの3次元実装の量産化を進め、高度情報化社会の実現に寄与することが期待されます。
「CEATEC 2025」は、2025年10月14日から17日まで幕張メッセで開催され、NEDOブースでは今回の研究成果が展示される予定です。これにより、業界関係者とのさらなる連携が図られることが期待されます。
この受賞は、ヤマハロボティクスの研究開発が未来の技術革新に貢献することを示す象徴的なものであり、刻々と進化するAI技術への期待が高まっています。