杉本哲郎の画業
2022-10-17 22:10:57
大阪本願寺の壁画《無明と寂光》を通じて知る杉本哲郎の画業
大阪本願寺の壁画《無明と寂光》
大阪、本願寺津村別院のホールを飾る大壁画《無明と寂光》。この作品は、仏教を通じて人間の生涯と精神の探求を描いた壮大なものです。釈迦の生涯を中心にし、200人以上のほぼ等身大の人物が描かれたこの壁画は、1969年に完成されました。
杉本哲郎の経歴
この壁画を手がけたのが、昭和まで活躍した日本画家・杉本哲郎です。滋賀県大津市に生まれた哲郎は、幼少期を京都で過ごし、15歳の時に京都市立美術工芸学校に入学。その後、著名な日本画家・川村曼舟に師事し、山元春挙のもとで画道を学びました。春挙の画塾の一員として活動を開始しましたが、自由な芸術観を追求する中で早苗会から破門されるという試練を経験しました。
芸術の転機と仏教美術の探求
哲郎は、自由な芸術表現への渇望からその後、仏教美術の研究に没頭します。昭和12年から13年にかけてアジャンター石窟寺院やシーギリヤ壁画の模写を行い、日本の仏教美術に新たな影響を与えました。この模写事業は、哲郎にとって画業における重要な転機となり、以降は仏画や宗教をテーマにした作品を精力的に制作しました。彼の作品は国内外で高く評価されています。
代表作とそのメッセージ
哲郎の代表作の一つに、《世界十大宗教壁画》があります。この作品は、「万教は同根、真理は共通して真・善・美も一つに帰納する」という信条に基づいており、仏教やキリスト教、イスラム教などの宗教の象徴を描いています。また、漆喰の上に色を施した《舎利供養》や《無明と寂光》といった作品も、彼の技術と思想が表現されています。
画業の革新性と現代への影響
杉本哲郎は、中国や朝鮮の影響を受けつつ、独自の視点で日本仏教美術とインド美術を研究し、近代における新しい仏像を創出しました。彼の作品は、当時の日本美術界に革新をもたらし続け、今日でも多くの人々に感動を与えています。
講演会の詳細と参加の薦め
この講演会は、杉本哲郎の業績を顕彰し、彼の代表作《無明と寂光》を直接鑑賞しながら、哲郎自身とその画業について深く理解する機会となります。仏教美術の深淵を探り、哲郎の生涯と作品に触れる貴重な機会をお見逃しなく。
会社情報
- 会社名
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「西田天香・杉本哲郎顕彰事業」実行委員会
- 住所
- 滋賀県長浜市公園町10-10長浜城歴史博物館
- 電話番号
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