最近、中小企業の情報システム(情シス)業務に関する調査結果が報告されました。調査は、メルコホールディングスのグループ企業である株式会社バッファローが行い、従業員数10名から300名未満の中小企業の情シス担当者111名を対象に実施されました。この調査からは、情シス業務に関連する重要なトピックや課題が浮き彫りになっています。
まず、中小企業の71.1%が専任の情シス担当者は「5名以下」と回答しています。実際には、10%が専任担当者を持たず、11.7%が1名、49.5%が2〜5名という状況です。これは、多くの中小企業が限られた人員で情シス業務を管理していることを示しています。
業務の運営において多くの企業が抱える悩みとして挙げられるのは、「技術的なスキル不足」が51.4%、「人材不足」が32.4%、さらに「残業規制による働き方改革」が31.5%でした。このことから、中小企業が求めるスキルやリソースの不足が、実務に影響を与えていると言えます。そのため、44.1%の企業が、業務量に対して担当者の人数が足りないと感じています。
調査では、みなさんが感じている人手不足の根本的要因として、「スキルの高い人材の不足」が51.0%と最も多く、他には「給与水準の高い職種に人材が集まり、ネットワーク管理者を目指す人材の減少」が40.8%でした。このような状況を背景に、中小企業の70.3%が情シス業務を全てまたは一部外部へ委託していることが明らかになりました。
外部委託の理由では、最も多くの回答を得たのは「専門的知識・スキルを持つ人材が社内にいないから」で、59.0%がこれに該当しました。さらに、IT人材の採用コストを削減したいと考える企業も42.3%に達しています。また、一部の企業は情シス担当者の負担を軽減したいと考え、35.9%が外部委託の理由として挙げています。
一方で、情シス業務を外部委託することで生じる課題も報告されています。約6割の企業が「委託費用が高騰している」と感じており、具体的な悩みとしては「情報漏洩のリスクがある」が38.5%、「業者の選定が難しい」という意見も34.6%存在しました。これらの悩みは、外部委託の実施が必ずしも得策でない可能性を示唆しています。
さらに、調査参加者からは「社内調整の難しさ」や「外部委託先のスキルにバラツキがある」という声も集まりました。特に、外部の担当者のスキルのばらつきが、期待通りの結果を出せない要因として影響しているようです。
総じて、中小企業の情シス業務は多くの課題に直面しており、外部委託の利用が一般化しているものの、さまざまな壁が存在することが見えてきました。情シス担当者が求められるスキルセットが変化する中、業務効率化に向けた支援策が必要とされています。リモート管理サービスなどの導入が一つの解決策として期待されており、こうした新しいアプローチが企業の情シス業務の負担を軽減する手助けになるかもしれません。