積水化学による新技術の展開
積水化学工業株式会社の100%子会社である積水テクノ成型株式会社が、最新の射出成形技術とそれを用いた製品を発表しました。その技術は、「マイクロオーダー射出成形」と呼ばれ、医療やバイオサイエンス領域に加え、自動車産業でも重要な役割を果たすと期待されています。
マイクロオーダー射出成形技術
医療やバイオサイエンス分野での活用が期待される「マイクロオーダー射出成形」は、高さがわずか20μmのリブ形状や15μmの凸形状など、数十ミクロンレベルの微細形状をプラスチック成形品に形成する技術です。従来の加工方法では、長時間の加工やコストが大きな課題でしたが、この新技術はそれらを克服し、大量生産が可能です。特に、マイクロウェルやマイクロプレートといった医療機器の開発において、低コストかつ短納期での提供が実現可能になるとしています。
バイオミメティクス構造への対応
この技術は、ロータス効果を使用した撥水・防汚構造や、モスアイ構造による光反射防止といったバイオミメティクス(生物模倣)の技術にも対応可能です。これにより、医療分野に限定されず、スマートフォンや情報通信機器の製造にも応用が期待されています。
車載向けの新技術
次に、積水テクノ成型が開発したのは、自動車業界向けの「軽量・放熱・電磁シールド技術」です。自動車の電動化や自動運転の進化に伴い、多くの電子制御ユニット(ECU)が車両に搭載されています。そのため、放熱性能や電磁シールド性能、さらに軽量化が求められるようになりました。
樹脂への代替による軽量化
従来の金属製ECU筐体を樹脂に置き換えることで、同じ形状でも約45%の軽量化が可能になります。これは特にEV(電気自動車)やハイブリッド車にとって、航続距離の向上に寄与します。また、輸送コストや環境負荷の低減にもつながります。
高機能樹脂の開発
さらに、新しい高機能樹脂を開発することで、放熱性と電磁シールド性の両立を実現しました。小型かつ複雑な部品の成形にも対応できる豊富なノウハウを持つ積水テクノ成型は、最先端の車載部品づくりを支援しています。
動画の公開
新しい技術をより深く理解してもらうために、積水テクノ成型では関連する2本の動画を公開しています。
- - 「マイクロオーダー射出成形品」 〜 医療・バイオサイエンスへの応用事例
視聴はこちら
- - 「車載ECU向け 高機能樹脂技術」 〜 軽量化・放熱・電磁シールドの両立
視聴はこちら
これらの情報を元に、次なるイノベーションの展開が楽しみです。