消費意欲が高まる中、探求心や共感がカギとなる
株式会社電通が実施した「欲望未来指数」の最新調査によると、消費者の消費意欲が依然として高い水準を維持しています。この調査は「DENTSU DESIRE DESIGN」と呼ばれるプロジェクトチームが行ったもので、消費者の心に根ざす欲望を捉え、市場の動向を予測することを目的としています。
「欲望未来指数」とは
「欲望未来指数」は、2021年から継続して行われている「心が動く消費調査」に基づいています。この調査では、物価変動や景気といった外的要因と分離して、消費者の「欲しい」「したい」といった内面的な欲求を可視化しています。最新の指数は253.9となり、前回の255.4から大きな変動はありません。この数値は、消費者が引き続き活発な購買意欲を持っていることを示しています。
消費者の根源的欲求の変化
調査によると、消費者の探索心や創造意欲が高まり、「腕試し欲望」が特に顕著な増加を見せています。この欲望は、AIハッカソンなど新しい挑戦を楽しむ姿勢を反映しており、消費のトレンドとして注目されています。また、「つながり・共感」の欲望や「遊興・解放」の欲望も増加傾向にあり、これが消費行動にも影響を与えています。
一方で、「無理のない自由」や「心身の安定」といった基本的な欲求は、以前よりも減少しています。これは、今や健康や自由が当然のものとして認識されており、これらを求める動機が薄れてきたことを示唆しています。
消費行動の背景
調査対象は全国の15〜74歳の男女3000人で、インターネットを通じて行われました。この多様なデモグラフィックの中で、消費者は外的な社会的つながりや共感を重視していることが強調されています。SNSを通じて、友人との連携や喜びを分かち合うことが、彼らの消費行動にも色濃く反映されています。
探求心や創造性を重視した商品やサービスが求められている現代。企業はこの消費者の変化を捉え、新しいマーケティング施策に取り組む必要があります。そのためには、消費者が求める「楽しい」「充実した」体験を提供することが重要です。
今後の展望
電通では、今後も消費者の欲望に基づく理解を深めることで、企業のマーケティング活動を支援していく方針です。「欲望」が新たな消費行動を推進する要因であることを理解し、効果的なカスタマージャーニーを設計することが求められるでしょう。
このデータは消費市場の変化を映し出しており、企業にとっても貴重な情報源となるはずです。消費者が本当に求めているのは、ただ物を購入することではなく、より深い「体験」なのかもしれません。消費者の期待に応える商品やサービスを提供することで、企業は持続的な成長を遂げることが可能になるでしょう。