腸内細菌叢の研究で早期大腸がん発見を目指す新進展
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社(以下、当社)は、聖マリアンナ医科大学と協力し、中年層を対象とした大腸がんの早期発見に向けた画期的な共同研究を始めることを発表しました。この研究では、腸内細菌叢が大腸がんの発症に与える影響を解明し、その結果を基に高感度で高特異度の大腸がん検査法を開発することを目指します。
早期発見の重要性
厚生労働省の統計によると、大腸がんは女性では死因の第1位、男性では肺がんに次いで第2位です。そのため、大腸がんに対する効果的な対策が求められています。特に、発症リスクが高まる中年期は、検診を通じて早期発見が重要とされています。
大腸がんの初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な検査が不可欠です。しかし、従来の便潜血検査では感度や特異度に課題があり、特に早期の大腸がんを見逃す可能性が高いのが実情です。
腸内細菌叢の可能性
近年、腸内細菌叢と大腸がんの関連についての研究が進む中、腸内細菌がバイオマーカーとして機能する可能性に期待が寄せられています。しかし、便潜血検査に代わる検査法として実用化されている腸内細菌叢検査はまだ確立されていません。そこで、当社と聖マリアンナ医科大学がタッグを組み、腸内細菌叢に着目した共同研究を行うに至りました。
共同研究の内容
この共同研究では、以下の二つの目的に取り組みます:
1. 中年期における早期大腸がんと腸内細菌叢との関連を探る。
2. 高感度かつ高特異度で大腸がんを早期に検出できる腸内細菌叢検査の開発。
腸内細菌叢検査は便を用いるため、身体に負担がかからない点も留意すべき特徴です。この新たな検査法が実用化されれば、早期発見率が向上し、それに伴って多くの命が救われることになるでしょう。また、医療費の抑制や限られた医療資源の効率的な利用にもつながる期待があります。
研究機関の概要
聖マリアンナ医科大学病院は、高度な医療技術を提供する特定機能病院として1974年に開院以来、多くの患者を支えてきました。がんの早期発見と治療に特化した施設であり、臨床研究においても先進的な取り組みを続けています。また、がんゲノム医療においても指導的役割を果たしており、がんの迅速な診断や多角的な治療を実施しています。
企業の概要
シンバイオシス・ソリューションズは、腸内細菌叢を用いて疾病リスクを評価するサービスを提供しています。その中には『SYMGRAM®』や『健腸ナビ®』といった製品が含まれており、腸内環境の改善を通じて疾病予防や改善に貢献しています。
この共同研究によって、新たな大腸がん検査法が確立されることが期待される中、大腸がん早期発見の重要性が改めて強調される場面が増えていくことでしょう。今後の研究の進展が待たれます。