中古マンション市場の変化
2025-07-11 19:21:13

中古マンション市場の地域差、成約価格が示す新たなトレンド

中古マンション市場の地域差、成約価格が示す新たなトレンド



最近、東日本不動産流通機構(REINS)が発表した「レインズタワー」レポートが、首都圏一都三県の中古マンション市場の現状を浮き彫りにしています。このレポートによれば、成約坪単価が1990年のバブル経済絶頂期と同じ水準に達していることが示されています。しかし、エリアごとの詳細な分析を行うと、興味深い地域差が見受けられます。

東京都と他地域の明確な温度差



一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の全体平均ではバブル期を上回る水準にある一方、実際に成約価格が高騰し続けているのは東京都のみです。神奈川県、千葉県、埼玉県では、2023年後半から2024年前半にかけて市場ピークを迎え、その後は成約価格が低下傾向に転じています。

特に千葉県と埼玉県においては、2013年から続いていた上昇トレンドが既に終焉を迎えようとしています。価格の下落は限定的ではありますが、これまでの「右肩上がり」から「横ばい〜下落基調」へと局面が変化しています。この変動の背景には、インフレや金利上昇といったマクロ経済的な要因が影響しているほか、都心部と比較した際のエリア的魅力の差や需給バランスの変化が深く関わっています。

エリア別のマンション市場評価



筆者は、エリアごとにマンション市場の「強さ」を定量的に比較するため、2024年の平均坪単価と2025年上期の推移を元に、それぞれのエリアを「価格の高騰率」と「価格の上がりやすさ」で評価しました。

評価Aエリア



東京都内では、以下のエリアが評価Aに分類され、市場として非常に強いことが確認されました:
  • - 中央区
  • - 港区
  • - 渋谷区
  • - 千代田区
  • - 目黒区
  • - 江東区
  • - 文京区
  • - 品川区
  • - 豊島区
  • - 台東区
  • - 墨田区

これらのエリアは、ブランド力、再開発、交通の利便性、商業施設の充実度が高いため、国内外からの資産評価も非常に高いです。特に港区や渋谷区は富裕層の都心回帰によって相場全体を牽引しています。千代田区では、坪あたり1000万円を超える高級物件の取引も多いため、東京全体の平均価格を押し上げる要因となっています。

東京都23区の堅調さ



驚くべきは、東京都23区全体がAまたはBの評価に入っていることです。これは都市全体の地力の強さを反映しており、再開発やインフラの整備、駅近立地の供給の限界が今後も堅調な価格維持を支える要因となるでしょう。

都道府県外の強いエリア



神奈川県では、武蔵小杉エリアが評価Aに位置付けられています。この地域は、再開発が続いており、利便性が非常に高く、ファミリー層からの安定した需要があります。ここでも東京都に匹敵する価格上昇が見られます。

埼玉・千葉での課題



対照的に、神奈川、埼玉、千葉の評価BやCエリアは市場の伸び悩みが明確になっています。川崎市や横浜市の人気エリアでも、過去の成長が鈍化しており、特に埼玉と千葉のエリアでは評価Aの地域が存在しません。これからの価格上昇の勢いは頭打ちになり、駅から遠い物件や通勤に不便な郊外では需給が鈍化しています。

まとめ



今回の分析から判明したのは、不動産価格の推移が地域ごとに異なることです。東京都心の一等地は今後も持続的な成長が期待される一方で、近郊エリアは市場の一巡感が強まっています。資産性重視で不動産購入を考える場合、立地評価やエリア将来性の見極めが重要となるでしょう。

—in collaboration with 福嶋 真司(マンションリサーチ株式会社)


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会社情報

会社名
マンションリサーチ株式会社
住所
東京都千代田区神田美土代町5−2第2日成ビル 5階
電話番号
03-5577-2041

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