皮膚細菌叢再現法
2024-11-20 14:24:53

ヒト皮膚の細菌叢を再現する新しい培養法の革新とその可能性

ヒト皮膚の細菌叢を再現する新しい培養法の革新とその可能性



最近、東京理科大学の研究チームがヒト皮膚の常在細菌叢を生体外で再現する新しい培養法を確立し、注目を集めています。この成果は、皮膚疾患の治療や肌に優しい化粧品の開発に広く適用される可能性があると期待されています。

研究の背景


皮膚は健康な状態を保つために、多様な常在細菌が存在しています。これらの常在細菌叢は皮膚のバリア機能を維持し、病原菌の侵入を阻止します。ただし、細菌叢のバランスが乱れると、アトピー性皮膚炎やニキビ、乾癬といった皮膚疾患が引き起こされることが知られています。このため、皮膚常在細菌叢の理解は、皮膚疾患を治療する上で非常に重要です。

これまで、常在細菌を生体外で培養することは困難であったため、皮膚疾患の研究や化粧品開発においては限界がありました。しかし、本研究では、その難題を克服するための方法が提案されています。

研究の概要


研究は、東京理科大学大学院創域理工学研究科 生命生物科学専攻の山元郁弥氏と倉持幸司教授、古山祐貴助教の研究グループによって行われました。彼らの成果は、ヒト皮膚常在細菌のうち、代表的な4種(Staphylococcus epidermidis、S. capitis、Cutibacterium acnes、Corynebacterium tuberculostearicum)の組成を再現できる新しい培養法、「東京理科大学 皮膚常在細菌共培養培地 (TSBC)」の開発に成功したことです。

この培養法の特徴は、皮膚常在細菌を試験管内で人工的に模倣し、正確なバランスで培養できる点です。研究者たちは、さまざまな培養条件を検討し、最適な環境を構築することによって、ヒト皮膚細菌叢のバランスを維持することに成功しました。

具体的には、GAM培地の希釈、人工皮脂、HaCaT細胞およびその培養上清を混合してTSBCを作製し、複合培養を行いました。この結果、細菌の割合は日本人の皮膚細菌叢に非常に近いバランスで増殖することが確認されました。

研究結果とその意義


この新しい培養法により、皮膚細菌叢を生体外で再現することが可能になり、皮膚の健康や疾患を理解するための基盤が整いました。研究チームは、TSBCを活用して皮膚常在細菌の相互作用を詳細に調査することができるようになると述べています。

さらに、これに基づく化粧品の開発が進めば、肌に優しい製品が市場に出る可能性が高まります。また、皮膚疾患の治療においても、より効果的な治療法の開発が期待されています。

結論


ヒトの皮膚常在細菌叢を生体外で再現できる培養法の開発は、皮膚疾患の治療や、肌に優しい化粧品の開発に繋がる可能性を秘めています。この研究は2024年11月11日に国際学術誌「AATEX」に掲載され、今後のさらなる展開が期待されています。皮膚常在細菌に関する深い理解が、科学分野だけでなく、私たちの健康にも寄与すると信じています。


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学校法人東京理科大学
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