メタリアルと国立がん研究センターが協力し生成AIを活用
株式会社メタリアルグループの一員である株式会社ロゼッタが、国立研究開発法人国立がん研究センターと共同研究契約を締結しました。この契約は、生成AIを活用して治験関連文書の自動作成ツールを開発することを目的としています。この取り組みは、治験業務における膨大な文書作成作業を効率化し、医療界における重要な一歩となるでしょう。
共同研究の背景
治験の実施には、多くの文書が必要であり、その作成や確認には相当な時間とリソースがかかっています。特に、CSR(総括報告書)などの文書は高い精度が求められ、従来の手作業では効率的な遂行が難しいのが現状です。このため、生成AIを用いた自動化が期待されていますが、特殊な内容や精度の要求から、汎用的な大規模言語モデル(LLM)による不要な手作業の置き換えは容易ではありません。
ロゼッタは、製薬業界向けの文書処理特化型AIモデル「Metareal AI LLM2」を開発中です。これは精度やユーザーエクスペリエンスに配慮したシステムであり、各業務に最適化された自動作成機能を提供します。また、ロゼッタのAI翻訳技術の経験を活かし、国立がん研究センターの国際開発部門を率いる中村健一部門長と共にこの共同研究を進めることとなりました。
国立がん研究センターについて
国立がん研究センターは、1962年の創立以来、日本のがん医療・研究のリーダーとして活動してきました。中央病院は臨床研究中核病院に指定され、国際水準の研究を進めています。治験や臨床試験において、デジタル技術を活用した医療DXの強化を進め、患者に最適ながん医療を提供するために、さまざまな取り組みを行っています。
研究の意義と今後の期待
中村健一部門長は、治験業務に膨大な文書が必要であり、その作業には多くの時間とリソースがかかっていると指摘しています。特にCSRなどの文書は高精度が求められ、その結果として多大なコストが発生しています。生成AIを利用することで、これらの文書を迅速かつ高品質で生成できるモデルの構築が期待されます。新薬開発にかかる時間とコストを削減し、日本が新薬開発においてリーダーシップを維持するためには、治験プロセスの効率化が急務です。
まとめ
このプロジェクトは、生成AIの導入により治験関連業務を一新し、より迅速に新薬を患者に届けるための重要な一歩です。今後、規制当局や製薬企業と連携しながら精度と信頼性を確保しつつ、この新たな取り組みを通じて薬の普及を目指していきます。
生成AIの導入により、今後の治験業務がどのように変化するのか、結果に大いに期待が寄せられています。