近年、小児アトピー性皮膚炎の診療が進化を遂げていますが、初診を担当するプライマリ・ケア医にとって、適切な治療法や予防策の情報が不足している現状があります。そのため、日本小児皮膚科学会と日本小児アレルギー学会が合同で作成した『小児のためのアトピー性皮膚炎の予防と治療の手引き ~小児アトピー性皮膚炎治療・管理ガイドライン2024~』が注目を集めています。この手引書は、2024年11月2日に発行され、プライマリ・ケアの現場における実践的なガイドラインとなることを目指しています。
本書の発行の背景として、小児アトピー性皮膚炎は乳児期早期に多く発症し、プライマリ・ケア医が初診を行うケースがほとんどです。近年では、早期診断と治療が重視されており、特にプライマリ・ケア医にとっては、複雑な疾患を理解し有効な治療を提供するための手引きが求められてきました。これに応える形で作成された本書は、以下の3つの特徴を備えています。
特徴1: 最新のガイドラインに基づく
手引書は、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024(ADGL2024)」に基づいており、日本皮膚科学会や日本アレルギー学会の編集協力を受けて作成されています。この副題「小児アトピー性皮膚炎治療・管理ガイドライン2024」からもわかるように、従来の知見や新たな研究成果を踏まえた内容が反映されています。
特徴2: プライマリ・ケア現場を考慮した記述
小児に特有のリスクや合併症、また予防的指導の重要性に焦点を当てた記載がされており、実際の診療に役立つ具体的な情報が提供されています。特に乳児期における重症患者の管理は、経験則だけでは難しいため、具体的な指針が求められています。
特徴3: 独自のクリニカルクエスチョンの設定
本書では、小児のアトピー性皮膚炎に対する外用薬と全身治療薬に関するシステマティックレビューを行い、明確な質問を設定しています。具体的には、外用分子標的薬や全身性分子標的薬の有効性について、推奨される治療法を提示しています。このように、科学的な根拠に基づいた判断を可能にする内容としています。
株式会社協和企画は、今後もこの手引書を通じて、小児アトピー性皮膚炎の治療に関する知識と情報の普及を進め、ヘルスケア分野に貢献していく意向を示しています。本書は2024年11月18日より書店での取り扱いが開始され、興味のある方はぜひお求めください。
書籍概要
- - 監修: 大矢 幸弘、佐伯 秀久、吉原 重美、成田 雅美
- - 作成: 日本小児皮膚科学会、日本小児アレルギー学会
- - 編集協力: 日本皮膚科学会、日本アレルギー学会
- - ISBN: 978-4-87794-240-3
- - 定価: 3,520円(本体3,200円+税10%)
- - 発行日: 2024年11月2日
- - 書店販売日: 2024年11月18日
本記事を通じて、小児アトピー性皮膚炎の治療に携わる全ての医療者の方々へ、貴重な情報提供ができることを願っています。