南三陸町の子育て支援を強化する新たなプロジェクトの取り組みとは

南三陸町の子育て支援強化プロジェクト

特定非営利活動法人ウィメンズアイは、宮城県南三陸町で「南三陸子育てハッピープロジェクト」を立ち上げ、地域の子育て家庭を支えるための取り組みを進めています。このプロジェクトは、震災復興の過程で十分に整備されなかった子育て支援の体制を充実させることを目的としており、地域の女性たちと共にさまざまな取り組みを進めています。

地域主体の支援体制の構築

プロジェクトの中心には「ファミリーサポートセンター」の設立準備があります。2023年4月から2024年9月の期間中には、パイロット事業として「あずかりあいっこ」を実施しています。このプログラムでは、地域内で子育ての助けを必要とする人と、サポートを提供したい人を結びつけ、ニーズに合わせた支援体制の形成を目指しています。

さらに、子育て中の親を支援する「子どもの見守りサポーター」の育成にも注力しています。このサポーターたちの活動により、乳幼児の一時預かりや育児イベントのボランティア、学習支援が実現しています。また、親と行政が共に話し合う「みんなで子育て作戦会議『しゃべりば』」も企画されており、2024年1月には初回の会議が開催されました。このような活動には、「みなはぴ」という団体をはじめ、地域で子育てを支援しようとする多くの人々が参加しています。

地域のニーズを反映した調査結果

ウィメンズアイは2022年に南三陸町と共同で「南三陸町の子育て環境に関わるニーズ調査」を実施しました。この調査では、地域の子育て家庭が直面する主な問題として、一時預かり施設の不足や育児負担の偏りが挙げられました。この結果から、相互支援の仕組みであるファミリーサポートセンターが必要とされていることが浮き彫りになりました。

調査に参加した就学前児童のいる世帯の57%がファミリーサポートセンターの利用を希望しており、この声は南三陸町に住む0〜5歳の子どもを持つ家庭の約24%に相当します。また、参加者からは「子供の送迎ができるようになれば安心」「子育てしやすい町づくりを望む」といった切実な意見も寄せられました。

地域格差の現状

宮城県内で南三陸町と人口規模が近い丸森町や山元町、蔵王町と比較すると、南三陸町の子育て支援施策は大きく不足しています。具体的には、ファミリーサポートセンター事業、産後ケア事業、病後児保育事業の導入状況において、南三陸町では多くの施策が未導入であることが明らかになりました。これが町の子育て支援施策の拡充を急務としています。

子育て支援の未来へ

震災から14年が経過する中で、南三陸町では子育て世帯の環境も変わってきています。これまでの三世代同居の減少や共働き世帯の増加は、より一層の育児サポートの必要性を示しています。ウィメンズアイは調査結果を基に、地域の主体的な支援体制の構築を呼びかけ、ファミリーサポートセンター事業の導入を提案しています。

「子育てが続く町」を目指すウィメンズアイは、南三陸町の女性たちと共に地域でのネットワークを構築し、子育てしやすい環境づくりに挑戦しています。その活動の維持には資金が必要であり、現在「みやぎチャレンジプロジェクト」を通じて寄付を募っています。支援の輪が広がることを期待し、南三陸町の子どもたちが安心して育つ未来を築くために、一歩一歩踏み出していきます。