進化する技術の先にあるもの
2024年11月9日と10日の2日間、神奈川県秦野市で開催された第40回全国削ろう会。ここには、全国各地から木工の達人たちが集まり、技の競い合いが繰り広げられました。この大会で特に注目を集めたのが、平成建設の大工工事部に所属する小林健太郎さんです。彼は、薄削り競技の五寸鉋の部で見事に優勝を収め、神奈川県知事賞を獲得しました。
何が勝因か?
小林さんは、数年前から削ろう会に参加し、技術向上に努めてきました。その過程では、思うような結果が得られず挫折の連続だったといいます。しかし、挑戦し続けたことで技術を磨き、自身の限界を打破することができました。この努力が実を結んだ瞬間が、今回の優勝の裏にはあったのです。
小林さんは、優勝を果たした今の気持ちをこう語ります。「優勝という結果は素直に嬉しいですが、それ以上にこの挑戦を通じて、技術を磨き続けることの奥深さを改めて感じました」と。報酬として贈られた愛用の五寸鉋と秦野産の木材で作られた賞状を手にしたその姿は、自信と誇りに満ちていました。
削ろう会とは?
削ろう会は1997年に設立され、木工職人たちが集い技術交流を行うイベントです。今年の全国大会には1万5千人以上が来場しました。職人たちはこの大会で、互いに技を競い合うだけでなく、情報交換や親睦を深めています。特に薄削り競技では、鉋で指定された木材を途切れることなく極限まで薄く削るという、非常に緻密な技術が求められます。保持される厚さは数ミクロン、まさに職人の世界です。
五寸鉋の部の魅力
薄削り競技には、寸八鉋を扱う部門と五寸鉋を扱う部門がありますが、五寸鉋の部はその中でも特にハイレベルな戦いが繰り広げられます。小林さんは、参加者の中で唯一19ミクロンという薄さを達成し、勝利を手にしました。五寸鉋はその刃幅が一般的な寸八鉋の約二倍であるため、扱いが非常に難しい道具でもあります。
小林さんが削り出した削り屑は、まるで透き通るような美しさ。柔らかく、絹のような質感を持ち、彼の技術の高さを物語っています。このような技術が日々の仕事にどのように生かされるのか、今後の期待が高まります。
平成建設の展望
小林さんが属している平成建設は、1989年の設立以来、職人育成と建築工程の内製化に力を入れてきました。200人以上の職人が在籍し、次世代に技術を継承することが大切な使命と考えています。小林さんは「お客様により良いものを提供し続け、次世代の後輩たちに、自分の得た技術を伝えていきたい」と語り、今後の展望を明かしました。
平成建設の小林健太郎さんが示した技術と情熱は、ただの結果ではなく、職人としての誇りと使命感を抱き続ける力強い姿を映し出しています。どんな未来が待っているのか、これからの活躍が楽しみです。